4年に1度、資格の更新講習が必要となる「監理技術者」。
特定建設業者が発注者より直接請け負った建設工事を4500万円(建築一式の場合は7000万円)以上の下請負契約に基づき工事施工する場合、工事現場に配置しなければならないと建設業法に定められています。
また公共工事入札時の経営事項審査において有資格者の数が加点対象となるため、工事担当者以外にも取得が求められる資格です。
資格取得にあたり試験はありませんが、1級建築士などの国家資格を取得している必要があります。
対象となるのは土木も含めた建設業に関連する全職種であるため、幅広い講習内容となっています。
この記事では、受講した全国建設研修センターの講習内容から設備に関連する内容、個人的に興味深かった内容をトピックス的にお伝えします。
講習は会場とオンラインと選択ができ、私はオンラインで受講しました。
朝から夕方までの丸一日講習でした。
建設業の現状と監理技術者
この章ではまず、監理技術者の役割と社会的責任の説明があります。続いて、
建設業の現状及び課題として、建設業就労者の数が減っており、その担い手確保のために法整備がなされいること、外国人労働者の受け入れが進んでいること。
社会保険未加入に対する対策についての解説がありました。
また働き方改革として労働時間規制についても触れられている点は、新たに加えられた点かと思います。
建設工事における技術者制度及び法律制度
この章では以下の内容が述べられています。
- 監理技術者の専任(他現場との兼務NG)についておよび専任が必要な工事金額(建築一式の場合8000万円)
- 施工体制台帳を現場の見やすい場所に掲示する必要があること。
- 一括下請負の禁止(マンション、公共工事)
- 設計変更ガイドライン(土木工事。土木は自然条件起因などで設計変更が多い。)
- 建設情報提供システム(コリンズ)
公共工事ごとに受注者・請負金額・配置技術者などの情報が公開されており、技術者指定検索することで、その技術者の工事履歴を知ることができる。
施工計画と施工管理
この章の概要は以下の通り。
- 施工計画
- 施工管理
- マネジメントシステム(QMS,EMS,OSHNS)
建設工事における安全衛生管理
この章の内容は、
- 労働災害の現状
- 建設工事における労働安全衛生法
- 労働災害による事業者の責任
- 労働災害、事故発生時の措置
- 講習災害の防止
- 安全衛生管理活動
- 最近の労働安全衛生法等の改正・強化等
労働災害の現状の中で、精神障害の労災認定フローチャートがあり、具体的にどのような状況であれば精神障害が労災と認定されるのか記載してあり、興味深かったです。
建設工事における環境保全
- 建設工事に伴う環境対策
- 建設副産物対策
- 廃棄物の適正処理
- 解体工事等に伴う有害物質等の措置
水質汚濁防止法や下水道法の記載がありますが、工事中の対応について主に述べられています。
設備では「フロン排出抑制法」について触れられており、フロン類使用機器廃棄時の手続きが説明されています。
そのほかハロンや太陽光パネルPCB等、解体時に対応が必要な有害物質についても説明がありました。
建設技術の動向
この章では全分野にわたる最新技術動向をトピックス的に説明されています。
全分野共通でBIM/CIMの推進について。
電気工事では電気自動車用急速充電装置や高調波対策ガイドライン。
管工事では潜顕分離空調やヒートポンプについて。(個人的には特に新しい技術とは思わないのですが・・)
電気通信でテレワークやDXについて。
最新技術と言いながら個人的にはあまり最新とは思えない内容でした。
土木含めた全職種対象なので致し方ないのかもしれません。
修了テスト
講習終了後には修了テストがありました。
合格点はなく、あくまで理解度確認のためのテストのようです。
30分で20問、テキスト参照可です。
内容は講習を聞いていれば回答できる程度のもので、監理技術者専任の問題やマニフェストに関する問題が出題されていました。
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