水道システムには、水の流れを制御し、逆流を防止するための様々な装置があります。その中でも特に重要なのが「逆止弁」です。
この装置は、水の逆流を防ぎ、水道水が清潔な状態で供給されることを確保します。
では、具体的に逆止弁とは何であり、どのように機能するのでしょうか?
逆止弁とは
逆止弁って何?
逆止弁は、水が一方向に流れることを保証する装置で、水が逆流してしまうことを防ぐ役割を果たします。
水が逆流すると水質の悪化・汚染の可能性があります。
逆流を防止することは非常に重要です
機能と仕組み
逆止弁は、水の流れる方向にのみ開いている弁を備えています。
水が正しい方向に流れるときは、この弁が開き、水が通過できます。
しかし、水が逆流しようとすると弁が閉じられ逆流を防ぎます。
逆止弁ってチャッキ弁とも言うよね?
英語のcheck(せき止める)+valve(バルブ)に由来するようです
スイング式チャッキ弁動作のわかりやすい動画がありましたので紹介します。
https://www.kitz.co.jp/reference/structure/checkvalve/
逆止弁の種類
建築設備で主に用いられる逆止弁には以下のものがあります。
- スイング式
- リフト式
- デュアルプレート(ウエハー)式
それぞれの構造は以下HP内のカタログを見ていただければ理解できるかと思います。
https://kitz-product.com/service/ggc/check-valve/
逆止弁使用の注意点
1.漏れやすい
逆止弁は流体自身の逆流圧力を利用して自力で閉止する構造であるため、逆圧(背圧)が低いと漏れやすいので選定には注意が必要です。
また「ゴミ噛み」などでも漏れやすいという欠点があります。
選定時にはメーカー基準を確認しましょう
2.ウォーターハンマーを発生させることがある
逆止弁は逆流が始まった後、弁体が作動し閉止を行う構造であるためバルブ自身の開閉でウォーターハンマーを発生させることがあります。
ウォーターハンマー発生を抑制するため、弁体に「ばね」を装着して逆流が始まる前から閉止アクションを取り、流れが止まり次第直ちに弁体が作動し閉止を行う構造とした「衝撃吸収式」逆止め弁も販売されています。
国交省標準仕様書には「スモレンスキ形」と「ウエハ形デュアルプレート式」が規定されています。
スイング式とスモレンスキ式の動作速度の違いがわかりやすく解説されていたので紹介します
イシザキHPより抜粋
3.配管姿勢に制約がある
逆止弁は自力(重力)で逆圧をシールする関係で、止め弁に比べて配管姿勢に対する制約が多いです。
特にリフト式では水平配管・正立姿勢のみ利用が可能となっています。
こちらもメーカー基準を確認しましょう
特殊な逆止弁
1. ボール式逆止弁
- 逆止弁が「ゴミ噛み」に弱いことは前述した通りですが、固形物(スラリー)が多く含まれる下水地下ピットからの圧力排水などの用途にはゴムライニングボール弁体を使用したボール式逆止弁が使用されます。
- ポンプが始動すると水流によって押し上げられて流路を開放し、ポンプが停止すると逆流と引力でボールが戻り、閉鎖する仕組みになっています。
- 他のチャッキバルと異なり、弁体を開閉する支点がないシンプルな構造であるため、異物が内部に絡まりにくくメンテナンスも容易です。そのため、汚水・廃水など異物の混入の多いラインに多く利用されています。
イシザキHPより引用
2. 減圧式逆流防止弁
https://www.tabuchi.co.jp/product/system/backflow-prevention/decompression/
- 従来の受水槽方式では、吐水口空間により水の本管側への逆流を防止していました。近年増加している直結給水方式では受水槽を使用しない為、その吐水口空間に代わる逆流防止装置として、減圧式逆流防止器が使用されます。
- 減圧式逆流防止器は2つの逆止弁の間にダイアフラムにより動作する逃し弁を備えた中間室が設けられ、逆流及び逆サイホンに対して、中間室の水を逃し弁から排水して空間を作ることにより、管路を遮断する為、現在、吐水口空間に匹敵する程、信頼性の高い逆流防止装置です。
https://www.tabuchi.co.jp/product/system/backflow-prevention/decompression/pdf/genatsu.pdf
直結増圧ポンプユニットには設置が義務付けられています
まとめ
逆止弁は、さまざまな産業分野で重要な役割を果たしています。
一方向の流れを確保することで、システムの安全性や効率性を向上させ、流体の制御を可能にします。
適切な逆止弁の選択と適切な設置は、システムの正常な運用と安全性を確保する上で重要です。
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