一級電気工事施工管理技士試験は、電気工事に関する高度な知識と技術を持つことを証明する試験です。
初めて受験する方や電気が専門外の人にとっては難しく感じるかもしれませんが、しっかりと準備すれば合格することができます。
合格のコツはとにかく過去問を繰り返し解くことです。
過去問を解くことで、出題の傾向と自分の弱点を知ることができます。
弱点を解説やテキストを読んで補強し、再び過去問を解く。
この繰り返しが合格への最短ルートです。
本記事では、初心者向けに試験の概要から過去問題の効果的な使い方、合格への勉強方法までを徹底解説します。
学習は過去問題を中心に進めよう
効果的な過去問題の使い方
過去問題を解くことで、試験の出題傾向や自分の弱点を把握できます。
1. 過去問題を解くメリット
出題傾向の把握
過去問題を解くことで、どの分野からよく出題されるかを知ることができます。
頻出分野の問題を重点的に学習することで、確実な得点力が身につきます。
弱点の発見
間違えた問題から、自分の理解が不十分な分野を見つけられます。
法規の問題でよく間違えるなら、その部分の解説やテキストを読み、重点的に復習します。
実際の試験形式に慣れる
本番の試験形式に慣れておくことで、当日緊張せずに取り組めます。
試験の時間配分や解答の順序などをシミュレーションできます。
2. 学習計画の立て方
1日のうち1時間を過去問題に当てると決め、たとえ10分でも毎日続けることが大切です。
試験日までの期間を逆算し、無理のない計画を立てましょう。
例):平日は仕事後に1時間、週末は2時間の集中学習時間を設ける。
1時間も時間がとれないという場合にはアプリの「続きから出題機能」を活用しましょう。
オンラインの学習アプリでは、前回の続きから問題を解くことができる機能があります。
この機能を活用することで、効率的に学習を進めることができ、毎日少しずつでも、全範囲を網羅することができます。
3. 付箋メモを使った重要ポイントの整理
学習中に重要だと思った箇所に付箋を貼ることで、復習する際に見返しやすくなります。
「ここは重要!」と書いた付箋を貼っておけば、試験前に短時間で要点を確認できます。
アナログな方法ですが、試験直前には意外と役に立ちます。
4. 解答履歴の分析と復習方法
解答履歴を見て、間違えた問題を重点的に復習します。
問題を間違えた理由を考え、同じミスを繰り返さないようにします。
間違えた問題には解説を付け加え、なぜ間違えたのかを明確にしておきましょう。
解答履歴を見直し、間違えた問題の分野ごとに復習リストを作成しておくと、試験直前期の学習を効率的に進めることができます。
一次検定の試験内容と過去問題
一次検定では電気工学・法規・施工管理方法等の知識が問われます。
試験時間は午前2時間半、午後2時間の合計4時間半と長時間にわたります。
解答は全てマークシート方式の正誤問題となっています。
試験時間 | 分野 | 出題数 | 必要解答数 | 解答形式 |
午前試験2時間30分 | 電気工学 | 15問 | 10問(選択) | 四肢択一 |
電気設備 | 32問 | 14問(選択) | 四肢択一 | |
関連分野 | 8問 | 5問(選択) | 四肢択一 | |
設計・契約関係 | 2問 | 2問(必須) | 四肢択一 | |
午後試験2時間 | 施工管理法(応用能力) | 6問 | 6問(必須) | 五肢択一 |
施工管理法 | 7問 | 7問(必須) | 四肢択一 | |
工事施工 | 9問 | 6問(選択) | 四肢択一 | |
法規 | 13問 | 10問(選択) | 四肢択一 |
実際の過去問題を資格学校のHPから確認することができます。
二次検定の試験内容と過去問題
二次検定は記述が中心で、試験時間は3時間となっています。
試験時間 | 出題分野 | 解答形式 | 解答形式 |
3時間 | 施工経験記述 | 安全管理・工程管理・品質管理 | 記述式 |
施工管理法 | 語句の説明(品質管理・安全管理) | 記述式 | |
電気設備全般 | 用語の説明 | 記述式 | |
電気設備全般 | 配電線路に関する計算問題 | 五肢択一 | |
法規 | 建設業法・電気事業法 | 五肢択一 |
施工に関する指定されたテーマについて記述、法規の空欄補充などを一次検定で理解した知識を元に、より実践的な問題が出題されます
安全管理や品質管理の実践に関する問題が多く出題されます。
こちらも実際の過去問を見ていただくとより、イメージがつきやすいかと思います。
試験準備と勉強方法
教材を準備する
まずはテキストと過去問題集を準備しましょう。
テキストは詳しすぎず、簡単すぎない適度なボリュームのものがおすすめです。
学習時間を確保する
仕事や家庭とのバランスを考慮し、現実的なスケジュールを立てることが重要です。
例えば、平日は1時間、週末は3時間を学習時間に充てるなど、無理のない計画を立てましょう。
早朝に起きることができれば、子供に邪魔されることなく集中できるのでおすすめです。
一次検定の学習方法
まずは内容を把握する
まずはテキストを読み、内容を把握しましょう。
その際、分野ごとに区切って学習を進めることがポイントです。
たとえば電気理論分野のテキストを読んで理解したら、電気理論分野の過去問を解いて知識を定着させます。
これを各分野ごとに繰り返して進めて行きます。
苦手分野は捨てる
全ての分野を学習する必要はありません。
出題数は92問ですが、必要回答数60問と1/3は捨てることができる試験です。
苦手分野の学習をほかの分野の学習時間にあて、確実な得点を目指しましょう。
ひたすら過去問を解く
知識がついてきたら、テキストなしで過去問を通しで解いていけるようになります
最終的には過去問題7年分を目安として、学習を進めていきます。
一次試験の内容はほとんどが同じような問題の繰り返しですので、過去問を繰り返し解くことで傾向が掴め、確実に得点することができるようになります。
二次検定の学習方法
二次検定では大問が5題出題されます。
こちらも過去問題と類似の内容が出題されることが多いため、過去問を中心に学習を進めていくことになります。
令和6年より試験内容の見直しが行われ、問題1の施工経験記述については自身の経験に基づいて記述する従来のものから、経験に基づかない、与えられた条件での施工に関する知識を有していることを示す記述を行う方式に変更されるとされています。
現時点では情報が少なく、対策が難しい部分はありますが、こちらの動画が参考になるかと思います。
問題2(施工管理)、問題3(電気工事用語記述)、問題4(計算問題)、問題5(建設業法と電気事業法)については引き続き、過去問からの類似問題の出題が予想されますので、一次検定と同様に過去問をベースに学習をしていくことになります。
モチベーションの維持方法
モチベーションを維持するコツ
長期間にわたる学習では、モチベーションの維持が重要です。
例えば、毎週の学習目標を設定し、達成したら自分にご褒美をあげるなど、短期間での目標設定とご褒美によって小さな成功体験を積み上げていくことが、長期間の学習を継続させるコツです。
ストレス解消法やリフレッシュ方法
定期的にリフレッシュすることも大切です。
適度な運動や趣味の時間を取り入れることで、ストレスを解消し、集中力を保つことができます。
具体的なリフレッシュ方法については一級管工事に関する記事で紹介しています。
合格者の声
夜にテキストで予習をして、日中の時間が取れるときに過去問を解いて合格しました
通信講座を利用しました、スキマ時間で動画や問題を解くことができたので忙しくても学習を継続できました
動画は非常に有効だと思います。倍速再生や繰り返し再生を活用し、自分の理解度に合わせて進めることができました
合格者の多くが通信講座を利用されています。
試験の最新情報
※令和6年より受験資格と試験範囲の変更が発表されました。
試験概要
試験では電気工事の施工管理に必要な知識と技術を有しているかを確認されます。
試験は「一次検定」と「二次検定」に分かれており、どちらも合格することが必要です。
一次検定:
項目 | 内容 |
試験日 | 6~7月頃の日曜日 |
試験地 | 全国10地区 |
試験時間 | 午前試験:2時間30分午後試験:2時間(1日通しで実施) |
第一次検定合格基準 | 全体で得点が60%以上(92問中60問解答し36問以上の正解)かつ、施工管理法〈応用能力〉で得点が50%以上(6問中3問以上の正解) |
一次検定では電気工事に関する法律や規則、技術的な知識を問われます。
技術基準に基づいた配線設計や、関連する法規について出題されます。
検定科目 | 知識/能力 | 解答形式 | 検定基準 |
電気工学等 | 知識 | 四肢択一 (マークシート) | 電気工事の施工管理に必要となる、①電気工学、電気通信工学、土木工学、機械工学、建築学に関する一般的な知識を有すること②発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等に関する知識を有すること③設計図書に関する知識を有すること |
施工管理法 | 知識 | 四肢択一 (マークシート) | 監理技術者補佐として、電気工事の施工計画の作成方法、工程管理、品質管理、安全管理等に関する知識を有すること |
施工管理法 | 能力 | 五肢択一 (マークシート) | 監理技術者補佐として、電気工事の施工管理に必要な応用能力を有すること |
法規 | 知識 | 四肢択一 (マークシート) | 建設工事の施工管理に必要な法令に関する知識を有すること |
二次検定:
項目 | 内容 |
試験日 | 例年10月中旬の日曜日 |
試験地 | 全国10地区 |
試験時間 | 3時間 |
合格基準 | 60%以上 |
二次検定では実際の工事現場での管理能力や技術を評価されます。
工事現場での安全対策や、品質管理に関する問題が出題されます。
検定科目 | 知識/能力 | 解答形式 | 検定基準 |
施工管理法 | 知識 | 五肢択一 (マークシート) | 監理技術者として、電気工事の施工管理に必要な知識を有すること |
施工管理法 | 能力 | 記述 | 設計図書で要求される発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等の性能を確保するために設計図書を正確に理解し、電気設備の施工図を適正に作成、必要な機材の選定・配置等を適切に行うことができる応用能力を有すること |
試験の合格率と難易度は?
一次検定の合格率は約40%、二次検定は約60%付近を推移しています。
二次検定は50〜60%で安定していますが、一次検定は合格率が53%の年もあれば、次の年には38%となるなど受験年度によって難易度の差が大きいことが特徴です。
資格取得のメリット
1.就職・転職に有利
建設業全体で人手不足が問題となっていますが、電気工事は特に深刻です。
その中で一級電気工事をもっていることで、希少人材となることができ、好条件の企業に就職・転職しやすくなります。
数多くの好条件求人があります。
転職には転職エージェントを利用することで、手厚いサポートを受けながら転職活動を進めることができます。
2.技術レベルが公的に証明される。
電気工事施工管理技士の資格を取得すると、自分の技術レベルが企業や協力会社に評価されやすくなります。
国家資格を取得することで技術力が公的に証明され、仕事への自信に繋がります。
3.監理技術者・主任技術者になることができる
資格を取得すると、所定の講習を受けることで監理技術者の資格を取得できます。
所属する事業者の専任技術者、監理技術者として工事現場の統括業務が可能になります。
4.待遇面の向上
資格取得により昇格・昇給のチャンスが広がります。企業によっては資格手当が支給され、年収面でもメリットを得ることができます。
こちらは一例ですが、こういった求人が多く存在するのもこの資格の特徴です。
まとめ
一級電気工事施工監理技士の勉強方法について解説しました。
資格勉強に共通することですが、過去問題を制するものは資格勉強を制すると言われるほど、過去問題を解くことは重要です。
過去問を解くことで、出題傾向を把握できるとともに自分の弱点を洗いだすことができます。
自分の弱点がわかれば、次に何をするべきかが見えてきます。
以上参考になれば幸いです。
コメント