ゼネコン設備担当とは?営業、設備設計から施工管理まで全体像を解説

ゼネコン
  • 大型プロジェクトに関わりたいけれど、ゼネコン設備担当が何をしているのかわからない
  • ゼネコン設備担当はそもそも必要?
  • ゼネコンで設備設計・施工管理を経験して年収アップを目指したい

ゼネコンの設備職に興味はあるけれど、その実態がわからず就職・転職に二の足を踏んでいませんか?
人生を左右する職業選択。しっかりと実態を掴んで納得した上で行動したいですよね。

ゼネコン(ゼネラルコントラクター)における設備職は、建築物の設計・施工からメンテナンスまでの全過程で重要な役割を担っています。

私はゼネコンの設備担当として15年以上、この業界に携わってきました。特にこの10年、新たな技術革新・環境への意識の高まりから設備職の重要性はますます大きくなってきていると肌で実感しており、建設業界における設備職の需要は急拡大しています。

本記事では、ゼネコン設備職の具体的な仕事内容、必要な資格、キャリアパスを詳しく解説します。
この記事を読むことで、設備職としてのキャリアを具体的にイメージでき、転職やキャリア形成の一歩を自信をもって踏み出せるようになります。

目次

ゼネコン設備職の基本情報

ゼネコンとは大規模プロジェクトの取りまとめ役のこと

ゼネコンとは、建設プロジェクトの企画から設計、施工、引き渡しまでを一括して管理する企業を指します。大規模な建設プロジェクトを担当し、多くの専門業者(サブコン)を取りまとめる役割を果たします。

設備職は建築設備(電気・ガス・水道・空調など)を専門に取り扱う職種

設備職とは、建物の設備(電気、空調、給排水、消防など)を設計・施工・維持管理する専門職です。

具体的な仕事内容は、設備の設計図作成、施工現場での管理、定期点検、修理などです。

ゼネコンの中で設備職は必要不可欠な重要ポジション

ゼネコンは建設プロジェクト全体を管理・監督する役割を担っています。

その中で設備職は、建物の快適性や安全性を確保するために欠かせない存在です。

空調、給排水、電気設備などの設計・施工・維持管理を担当する設備職は、プロジェクトの品質を直接左右するため、非常に重要な役割を担っています。

ゼネコンとサブコンの違い

ゼネコンはプロジェクト全体の管理を行うのに対し、サブコンは特定の設備工事を専門的に担当します。

例えば、空調設備や電気設備のみを担当するのがサブコンです。

ゼネコンはサブコンを統括し、プロジェクトの進行を管理します。

ゼネコン、サブコンの代表的な企業についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

設備職の需要は急拡大中!

建設業界では、都市再開発やインフラ整備のプロジェクトが増加しています。これに伴い、設備職の需要も急速に拡大しています。

特に老朽化したインフラの更新や、新しい技術の導入が進んでいるため、設備職の重要性が高まっています。

また、技術革新により、建設業界ではスマートビルディングやエコビルディングの需要が増えています。

近年ではZEB等の認証取得が活発になってきています。

ZEB取得を目標とする建物では、エネルギー効率や環境負荷の低減が重視されるため、最新技術の知識とスキルをもった設備職が求められています。

ゼネコンの設備担当は必要か?

結論から言えば、ゼネコンにおける設備担当は不可欠な存在です。
確かに、サブコン各社は電気・空調・衛生など、それぞれの専門分野に特化しており、知識や技術の深さではゼネコンの設備担当を上回ることが多いでしょう。
しかし、サブコンの業務範囲はあくまで“個別最適”であり、現場全体の最適化にはつながりません。

サブコン同士の取り合いや調整が不足すれば、鉄骨スリーブや総合プロット図の整合が取れず、何度もやり直しが発生します。
また、「自社の担当範囲外は関係ない」と考えるサブコン担当も存在し、工事全体をまとめる視点が欠けがちです。

一方、ゼネコンの設備担当は現場全体を俯瞰し、工程管理・コスト管理・品質管理を横断的に調整する役割を担います。
このポジションがいなければ、設備工程の作成や関係者への周知が不十分となり、結果的に受電日が遅れ、試運転・調整の日程が確保できないといった問題も生じます。

さらに、サブコンに対して妥当な査定ができなければ、コストの適正化や品質維持にも支障が出ます。
ゼネコン設備担当は、サブコンの専門性に依存せず、全体最適と品質の均一化を実現するための調整役として欠かせないポジションなのです。

設備職の具体的なプロジェクト事例

ビル群

代表的なプロジェクトの紹介(超高層ビルや大規模インフラ)

設備職が関わる代表的なプロジェクトには、超高層ビルや大規模インフラの施工管理があります。

例えば、東京スカイツリーのようなランドマーク的な建物や、新幹線の駅舎、大型商業施設などです。

大規模プロジェクトでは、設備の設計・施工・維持管理が建物機能を支える中核的な要素となり、建築の完成度や快適性を左右します。

各プロジェクトでの設備職の役割

例えば超高層ビルのプロジェクトでは、空調設備や給排水設備の設計と施工が重要です。

ビルの高さに応じた圧力調整や、エネルギー効率の高いシステムの導入が求められます。

また、大規模インフラプロジェクトでは、電気設備の信頼性や耐久性が重視されます。

新幹線の駅舎では、停電が許されないため、非常用電源の設置や定期的な点検が欠かせません。

設備職は環境問題のスペシャリスト

スペシャリスト

環境に配慮した建築と設備管理の役割

現代の建設業界では、エコロジーや持続可能性が重要なテーマとなっています。

ゼネコンの設備職は、建物のエネルギー効率を高め、環境負荷を低減するための設計・施工・管理を担当します。

太陽光発電システムの導入や、省エネ型空調システムの設計を通して持続可能な建築物の実現に貢献することができます。

ゼネコンが取り組む持続可能な建築プロジェクト

多くのゼネコンでは、持続可能な建築の実現に向けて、環境・社会・経済の各側面から総合的な取り組みを進めています。
再生可能エネルギーの導入や建材リサイクルの推進、環境負荷を抑えた施工技術の採用など、具体的な施策は多岐にわたります。
こうした活動は、環境保全にとどまらず、企業の社会的評価やブランド価値の向上にもつながっています。
設備職としてこのようなプロジェクトに携わることで、環境負荷の低減に貢献できるだけでなく、社会的意義の高い仕事に関わるやりがいを実感することができます。

ゼネコン設備職の役割と仕事内容

ゼネコンの設備職は、建物の電気設備、空調設備、給排水設備などを担当する専門職です。ここでは、ゼネコン設備職の中にも様々な職種がありますが、代表的な4職種の仕事内容について解説します。

営業

営業

営業職は、クライアントとのコミュニケーションを担当し、新しいプロジェクトの獲得を目指します。営業職の主な仕事には以下のようなものがあります。

顧客との打ち合わせ

顧客のニーズや要望を聞き取り、最適な提案を行います。

プロジェクトの提案書作成

プロジェクトの概要や見積を含む提案書を作成し、顧客に提出します。

契約交渉

契約条件や予算について顧客と交渉し、契約を締結します。

アフターフォロー

プロジェクト完了後も顧客との関係を維持し、追加の依頼対応やサポートを行います。

営業職はクライアントとの信頼関係を築くことが重要です。また、建設プロジェクトに関する幅広い知識が求められます。

設計

設計

設計職は、建物の設備の詳細な設計図を作成する役割を担います。

設計職の主な仕事には以下のようなものがあります。

基本設計

建物の全体的な設計方針を決定し、基本的な設計図を作成します。

詳細設計

基本設計を基に、細部まで詳細な設計図を作成します。具体的な設備の配置や仕様を決定します。

設計変更対応

施工中に生じる変更や修正に対応し、設計図を更新します。

関係者との調整

他の設計者や施工管理者と連携し、設計図の内容を共有し調整します。

設計職は、高度な技術知識と設計ソフトウェアのスキルが必要です。

また、正確で詳細な設計図を作成するための注意力も重要です。

見積・積算

見積

見積・積算職は、プロジェクトのコストを算出する役割を担当します。

見積・積算職の主な仕事には以下のようなものがあります。

コスト算出

設計図を基に必要な材料や工事のコストを見積ります。

予算管理

プロジェクト全体の予算を管理し、コストオーバーしないように調整します。

見積書作成

クライアントに提出する見積書を作成し、詳細なコスト内訳を記載します。

コスト最適化

コストを削減するための方法を検討し、効率的な資材調達や工法を提案します。

見積・積算職は、正確な計算能力と予算管理のスキルが求められます。

また、コスト削減のためのアイディアや工夫も重要です。

施工管理

施工管理

施工管理職は、設計図通りに設備が施工されるように現場を管理します。施工管理職の主な仕事には以下のようなものがあります。

施工計画の立案

工事のスケジュールや手順を計画し、円滑な施工をサポートします。

現場管理

工事現場での作業を監督し、品質や安全を確保します。

進捗管理

工事の進捗状況を把握し、予定通りに進むよう調整します。

品質管理

施工された設備の品質を確認し、問題があれば修正を指示します。

アフターメンテナンス

施工後の設備が正常に機能するように定期点検や必要な修理を行います。

施工管理職は、現場での実務経験やリーダーシップが重要です。

また、問題解決能力とコミュニケーションスキルも求められます。

現場からの声〜ゼネコン設備職の魅力?激務?〜

現場

実際にゼネコンの設備職で働く人々の声を聞いてみました

設備に求められるものは時代と共に変化する。その時々の最先端を取り入れ顧客のニーズにどう答えるか、打ち合わせを重ねながら具現化していくことが魅力。

計画どおりにできたときや、イメージを超えた空間が完成したとき。快適さや利便性を追求して、建物の付加価値を高められることも魅力の一つ。

建物用途が変われば設備の内容もガラッと変わる。様々な建物に携わることができ、いつも新しい発見があって楽しい。

仕事はきついが年収は高い。20代で1,000万近くなることも。

小現場であれば自分ひとりで設備工事を牛耳ることができ、所長からも頼られる。

プロジェクトの始めから終わりまで携わることができるので、達成感が半端ない。

独身のうちは良かったが、家庭をもってからの地方への単身赴任はきつい。

ゼネコン設備職のキャリアパスと将来性

入社後のキャリアパスと昇進の流れ

ゼネコンの設備職では、入社後はまず現場での実務経験を積むことから始まります。

その後、主任、課長、部長といった管理職への昇進の機会があります。

管理職になると、現場の管理だけでなく、プロジェクト全体の計画や調整も担当します。

労働環境は年々改善されている!

一昔前の建設業界では、長時間労働が課題となっていましたが、近年は働き方改革が進められています。

特に2024年から残業規制が法律でかかっているため、各社受注調整や人員の積極採用などでなんとか法を遵守しようと必死になっています。

具体的には、残業時間の削減はもちろんのこと、週休2日制の導入、フレックスタイム制度の適用などが行われています。

この他にも各企業ではさまざまな取り組みが行われています。

例えば、育児休暇や介護休暇の取得促進、テレワークの導入、メンタルヘルスケアの充実などです。

社員が長く安心して働ける環境が整備され、企業全体の生産性向上にもつながる取り組みは、今後も多くの企業で導入されていくでしょう。

国際展開とグローバルなキャリア機会

ステップアップ

海外プロジェクトへの参加機会とそのメリット

ゼネコンは国内外で数多くのプロジェクトを手がけており、海外でのプロジェクトに参加することで、設備職としての国際的な経験を積むことができます。

また、海外プロジェクトでは先進的な技術や異なる建設規格に触れる機会が多く、技術力の向上にもつながります。

例えば、東南アジアや中東の大規模インフラプロジェクトに参加することで、グローバルな視点を持った技術者としての成長が期待できます。

グローバルな視点でのキャリアパス

海外での経験を積むことで、国内だけでなく、国際的なキャリアパスを描くことが可能になります。

例えば、海外プロジェクトでの経験を基に、国内外の大手ゼネコンや外資系建設会社でのキャリアを築くことができます。

また、グローバルなプロジェクトマネージャーや国際事業部のリーダーとして活躍するチャンスも広がります。

海外経験にを積むことでキャリアの幅が広がり、高収入や高ポジションを目指すことが可能になります。

最新技術の導入と影響

先端技術

建設業界での最新技術(BIM、IoT、AIなど)の紹介

近年、建設業界ではBIM(Building Information Modeling)、IoT(Internet of Things)、AI(Artificial Intelligence)などの最新技術が導入されています。BIMは、建物のデジタルモデルを作成し、設計から施工、維持管理までの全工程で利用されます。

IoTは、建物内の各種設備をインターネットに接続し、リアルタイムでの監視や制御を可能にします。

AIは、データ分析や予測メンテナンスなどに活用され、設備の効率的な運用を支援します。

最新技術が設備職にどのように影響しているか

最新技術の導入により、設備職の業務内容も大きく変わっています。

BIMを活用することで、設計段階から施工、維持管理まで一貫したデータ管理が可能となり、業務の効率化が図れます。

また、IoTやAIを活用することで、設備の故障予測やエネルギー管理が精緻化され、より高度な技術が求められるようになっています。

スキル・資格取得で年収アップ!

年収アップ

推奨される資格(一級建築士、1級施工管理技士など)

設備職には、特定の資格が必要とされることが多いです。

代表的な資格には、一級建築士、1級施工管理技士、建築設備士などがあります。

これらの資格を取得することで、専門知識を持つ証明となり、キャリアアップの道が開けます。

企業によっては資格取得支援制度や資格手当を設けているところもあります。

スキルアップのための具体的な方法

スキルアップのためには、まずは現場で実務経験を積むことです。

また、専門書籍の読書、オンライン講座の受講なども役立ちます。

新しい技術や知識を常に学び続ける姿勢が重要です。

設備職になるための転職活動の進め方

転職

転職支援サービスの利用

設備職として転職を成功させるためには、転職支援サービスを積極的に活用することが重要です。
転職エージェントでは、設備分野に特化した求人の紹介だけでなく、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策、年収交渉まで徹底的にサポートしてもらえます。

大手エージェントは非公開求人を多数保有しており、自分では見つけられない優良企業に出会えるチャンスもあります。
さらに、業界に詳しいキャリアアドバイザーが、経験や希望に合った最適なキャリアプランを提案してくれるため、初めての転職でも安心して一歩を踏み出せます。

「どのエージェントを選べばいいか分からない」という方は、以下の記事で紹介している設備職に強い転職エージェントをチェックしてみてください。
今の職場にモヤモヤを感じているなら、行動を起こすのは“今”が最も早いタイミングです。

未経験から設備職を目指すためのステップ

未経験から設備職への転職を目指す場合は、まず基礎的な知識の習得が欠かせません。
設備の仕組みや施工の流れを理解し、関連資格を取得することで、知識だけでなく「学ぶ姿勢」や「意欲」を客観的に示すことができます。

実務経験がない場合でも、インターンシップや職業訓練などを通じて現場を体験することが大きな強みになります。実際の設備工事に触れることで、業務のイメージが明確になり、面接でも説得力のある発言ができるようになります。

さらに、自己PRでは、過去の仕事で培ったスキルをどのように設備職に活かせるかを具体的に伝えることが重要です。
たとえば、「工程管理」「チーム調整」「安全意識」「品質へのこだわり」といったスキルは、設備職でも高く評価されます。
これらを具体例とともに示すことで、未経験でも即戦力として期待できる人材であることを効果的にアピールできます。

まとめ丨設備職の魅力と将来性

まとめ

設備職は、建物やインフラの機能を支える中核的な職種であり、社会の快適さと安全を陰で支える重要な仕事です。
電気・空調・給排水といったライフラインを設計・管理することで、人々の暮らしを支えるやりがいを実感できます。

技術革新が進む中で、常に新しい知識やスキルの習得が求められるため、自己成長の機会が豊富なのも大きな魅力です。
さらに、再生可能エネルギーの導入やスマートビル技術など、持続可能な社会の実現に直結するプロジェクトに関わる機会も増えています。

社会的な意義が高く、専門性を磨くほどに市場価値も高まる設備職は、今後も需要の拡大が見込まれる将来性の高いキャリアと言えるでしょう。

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この記事を書いた人

設備エンジニアとして日々奮闘しながら、より良い職場を求めて転職活動中。
複数の転職エージェントに登録。
自己分析や企業研究で得た知見を発信していきます。
【保有資格】
・設備設計一級建築士
・建築設備士
・一級管・電気工事管理技士ほか
詳しいプロフィールはこちら

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