【プロジェクトの川上から川下まで!】発注者・コンストラクションマネージャーとして設備に携わることの魅力を解説!

コンストラクションマネジメント

建設プロジェクトの遅延やコスト超過、品質問題は、発注者にとって大きな頭痛の種です。このような課題に対処するための効果的な手法として注目されているのが、コンストラクション・マネジメント(CM)方式です。CM方式は、プロジェクトの計画から設計、施工、運用までの全フェーズで管理を行い、発注者側の利益を最大化することを目指します。

この記事を読むことで、建設プロジェクトにおけるCM方式の有効性、効率的なプロジェクト管理がどのように行われているかを理解できるようになります。また、国内の代表的なCM会社の特徴や年収情報も提供し、CMについての解説動画やキャリアパスについても紹介しますので、馴染のないCMrの仕事内容を把握できるようになります。

さらに、設備管理におけるCM方式の魅力についても触れます。設備の設置や運用は建設プロジェクトの中でも特に複雑で専門的な知識が求められる部分です。CM方式では、設備の設計段階から運用段階まで一貫して管理し、効率的な設備配置や運用方法を提案します。これにより、設備の効率的な運用が可能となり、長期的なコスト削減に寄与します。

この記事を通じて、CM会社の仕事内容と魅力を把握し、就職・転職活動の一助になることを祈っています。

コンストラクション・マネジメント(CM)方式とは?

CM方式

CM方式の基本定義

コンストラクション・マネジメント(CM)方式は、建設プロジェクトの全体を管理し、効率的な進行をサポートする手法です。プロジェクトの計画から設計、施工、運用までのすべてのフェーズで管理を行い、発注者側の利益を最大化することを目指します。CM方式を導入することで、プロジェクト全体を見渡し、コスト、品質、スケジュールのバランスを保ちながら進行させることができます。

CM方式の歴史と背景

CM方式は1970年代にアメリカで始まりました。当時、建設プロジェクトの複雑さが増し、より専門的な管理が求められるようになったためです。従来の建設管理手法では、プロジェクトの進行中に予期せぬ問題が発生することが多く、それが工期の遅延やコスト超過の原因となっていました。CM方式は、これらの問題を未然に防ぎ、プロジェクトを円滑に進めるための手法として開発されました。現在では、アメリカをはじめ世界中で広く採用され、成功事例も数多くあります。

CM方式と他の建設管理手法(PM、施工管理)との違い

建設管理にはいくつかの手法があります。PM(プロジェクトマネジメント)は、プロジェクト全体を管理する手法です。プロジェクトの計画、実行、監視、完了を含むすべてのフェーズでプロジェクトを管理します。

施工管理は、実際の建設現場での具体的な施工を管理します。施工管理者は、施工が計画通りに進むように監督し、品質と安全を確保します。

CM方式はこれらとは異なり、発注者の立場からコスト、品質、スケジュールを総合的に管理します。CM方式では、発注者がプロジェクトの主導権を握り、CMr(コンストラクションマネージャー)がそのサポートを行う形でプロジェクトを進めます。

CM方式のメリットと導入効果

CM方式のメリット

1. コスト低減効果と予算内コストコントロール

CM方式を導入することで、プロジェクトのコストを最適化し、予算内での施工を保証します。これにより、無駄な支出を防ぎ、コスト効率を高めることができます。CMrは、コスト管理の専門家として、プロジェクトの各フェーズでコストを厳密に監視し、予算超過を防ぎます。

2. プロジェクトの早期立上げと事業化支援

CM方式では、早期の計画策定と実行支援により、迅速なプロジェクト立ち上げが可能です。早期に計画を立て、問題点を洗い出すことで、スムーズなスタートを切ることができます。これにより、プロジェクトのリードタイムが短縮され、早期の事業化が実現します。

3. お客様の専門性を補完し合意形成の支援

合意形成

専門知識を持つコンストラクション・マネジャー(CMr)が発注者の意思決定をサポートします。発注者が建設の専門家でなくても、CMrの助けを借りることで、適切な判断を下すことができます。CMrは、専門的なアドバイスを提供し、発注者がプロジェクトの各フェーズで適切な決定を行えるようサポートします。

4. プロジェクトに最適な発注方式を検討できる

CM方式では、プロジェクトの特性に応じて最適な発注方法を提案します。これにより、プロジェクト運営が効率化され、成功率が高まります。発注方法には、設計・施工一括(デザインビルド)や施工管理契約(CMアットリスク)などがあります。CMrは、プロジェクトのニーズに最も適した発注方式を選定し、発注者に提案します。

5. 第三者性、アカウンタビリティ

CMrは中立な立場からプロジェクトを監督し、透明性を確保することで、公正なプロジェクト運営が実現し、信頼性が向上します。CMrは、発注者の代理としてプロジェクトを監視し、全ての関係者に対して説明責任を果たします。

導入効果

1. 工期短縮

効率的なスケジュール管理により、工期を短縮、早期の利用開始が可能となります。CMrは、プロジェクトの進行状況を常に把握し、遅延を防ぐための対策を講じます。

2. 予算超過の防止

綿密なコスト管理により、予算超過を防止します。計画段階から予算を厳守し、無駄な支出を抑えることで、プロジェクトの経済性を高めます。CMrは、コスト見積もりの精度を高めるために、市場調査やベンチマークを活用します。

3. 業務負担の軽減

発注者の業務負担を軽減し、業務効率を向上させます。発注者は他の重要な業務に集中することができます。CMrは、プロジェクト管理の全般を担当し、発注者の代わりに細部まで目を配ります。

コンストラクション・マネジャー(CMr)の役割

CMrの業務内容

CMrは、計画、設計、施工、運用の各フェーズで以下の管理業務を行います。

計画フェーズ:プロジェクトの初期計画と予算設定を行います。この段階で、プロジェクトの目的や目標を明確にし、全体の方向性を決定します。

設計フェーズ:設計図の作成と設計者の選定をサポートします。ここでは、設計者と協力し、プロジェクトの具体的な設計を行います。

施工フェーズ:施工業者の選定と契約締結、施工管理と品質チェックを行います。CMrは、施工業者とのコミュニケーションを取り、施工が計画通りに進むよう監督します。

運用フェーズ:完成後の施設管理と運用支援を行います。プロジェクトが完成した後も、適切な運用が行われるようにサポートします。

CMrの重要性と専門性

専門家

CMrは、専門知識と経験を持つことが求められます。専門的な知識と経験を活かして、プロジェクトの効率的な進行と成功をサポートします。CMrは、建築学、土木工学、プロジェクトマネジメントなどの分野での知識を持ち、複雑なプロジェクトの管理を行います。

CMrになるための資格と学べる学科

CMrになるためには、建設関連の資格や学科を取得することが推奨されます。具体的には、以下の学科や資格があります。

建築学:建築設計や建築構造に関する知識を学びます。

土木工学:土木構造物やインフラの設計・施工に関する知識を学びます。

プロジェクトマネジメント:プロジェクトの計画、実行、監視、制御に関する知識を学びます。

資格取得により、専門的な知識とスキルを身につけることができます。例えば、Project Management Professional(PMP)やCertified Construction Manager(CCM)などの資格があります。

CM方式のプロジェクトフロー

プロジェクトの流れを以下に示します。

1. 企画フェーズ

プロジェクトの初期計画と予算設定を行います。この段階で、プロジェクトの目的や目標を明確にし、全体の方向性を決定します。プロジェクトの範囲や要件を定義し、初期のスケジュールと予算を設定します。

2. 計画フェーズ

詳細な計画策定とスケジュール設定を行います。ここでは、具体的な工程やタイムラインを決定し、プロジェクトの進行を計画します。リスク管理計画や品質管理計画もこのフェーズで策定します。

3. 設計フェーズ

設計図の作成と設計者の選定を行います。このフェーズでは、プロジェクトの具体的な設計が行われ、詳細な計画が形になります。設計者との協力により、設計の品質とコストを最適化します。

4. 発注・契約フェーズ

施工業者の選定と契約締結を行います。最適な業者を選び、契約を結ぶことで、プロジェクトの施工準備が整います。入札プロセスや契約交渉を通じて、最適な条件を確保します。

5. 工事フェーズ

実際の施工管理と品質チェックを行います。ここでは、計画通りに施工が進むように監督し、品質を確保します。施工の進行状況を監視し、必要に応じて調整を行います。

6. 運用フェーズ

完成後の施設管理と運用支援を行います。プロジェクトが完成した後も、適切な運用が行われるようにサポートします。施設の運用や保守管理を計画し、持続的な運営を確保します。

CM方式に関する解説動画

1. 基本的な解説動画

初心者向けにCM方式の基本を解説する動画です。専門用語や難しい概念を分かりやすく説明しています。動画では、CM方式の概要や基本的な考え方を視覚的に学ぶことができます。 コンストラクションマネジメント(CM方式)とは

2. 発注方式の解説動画

発注方式に関する詳細な解説動画です。動画では、デザインビルドやCMアットリスクなどの具体的な発注方式について学ぶことができます。 コンストラクション・マネジメント(CM方式)を活用した発注方式の解説動画

3. 公共施設に関する解説動画

公共施設におけるCM方式の具体例を紹介する動画です。実際のプロジェクト事例を通じて、CM方式のメリットを学べます。動画では、公共施設の建設プロセスや成功事例が紹介されています。 地方公共団体向け コンストラクション・マネジメント(CM方式)の解説動画

設備におけるコンストラクション・マネジメント

高度な設備管理

施設管理

CM方式は、特に設備の管理において高い効果を発揮します。設備の設置や運用は、建設プロジェクトの中でも特に複雑で専門的な知識が必要とされる部分です。CMrは、設備の設計段階から運用段階までを一貫して管理し、最適な設備配置や運用方法を提案します。これにより、設備の効率的な運用が可能となり、長期的なコスト削減に寄与します。

専門的なリスク管理

設備投資は大きなコストがかかるため、リスク管理が非常に重要です。CM方式では、プロジェクトの初期段階からリスクを評価し、対策を講じることで、設備投資のリスクを最小限に抑えます。例えば、設備の選定においては、最新の技術動向や市場価格を考慮し、最適な選択を行います。また、設備の設置や運用においても、故障や不具合のリスクを事前に把握し、予防措置を取ることで、プロジェクトの安定性を確保します。

効率的なコミュニケーション

設備の設置や運用には、多くの専門家や業者が関与します。CM方式では、CMrが中心となってプロジェクトチームをまとめ、効率的なコミュニケーションを図ります。これにより、各専門家や業者の間での情報共有がスムーズに行われ、プロジェクト全体の効率が向上します。例えば、設備の設置に関する詳細な計画やスケジュールが共有されることで、施工業者や運用担当者がスムーズに作業を進めることができます。

持続可能な設備管理

現代の建設プロジェクトでは、持続可能性が重要なテーマとなっています。CM方式では、持続可能な設備管理を実現するための計画が立てられます。また、設備のライフサイクルを通じて環境への影響を最小限に抑えるための対策を講じることで、プロジェクト全体が環境に配慮した持続可能なものとなり、社会的な評価も高まります。

アフターケアとサポート

設備の導入後も、CMrがアフターケアとサポートを提供します。設備の運用や保守において、発生する可能性のある問題に迅速に対応し、設備の最適な運用を支援します。設備の長寿命化と性能の維持が図られ、発注者の負担が軽減されます。定期的な点検やメンテナンスの計画を立て、予防保守を実施することで、設備の稼働率を高めることができます。

コンストラクション・マネジメント会社の特徴と年収

国内の代表的なコンストラクション・マネジメント会社の概要を以下に示します。

平均年収は高く、1,000万円前後となっています。

会社名事業所所員数特徴
日建設計コンストラクション・マネジメント (NCM)東京、大阪、名古屋313名国内最大の独立系建設マネジメント会社。幅広いコンサルティングサービスを提供し、中立性を確保。
明豊ファシリティワークス (Meiho Facility Works)東京、大阪237名独立系建設マネジメント会社で唯一の上場企業。独自システムを活用し、建設プロジェクトや施設管理を効率化。
山下PMC東京198名国内で3番目の大きさの独立系建設マネジメント会社。経営戦略まで踏み込んだコンサルティングを提供。

CMrに求められるスキル

CMrには以下のスキルが求められます。

1. 資格

CMに関する資格にはPMP(Project Management Professional)やCCM(Certified Construction Manager)があげられます。

PMPとCCMの概要は以下のの通りです。

項目PMPCCM
概要プロジェクトマネジメントにおける国際的に認知された資格コンストラクションマネジメントに特化した認定資格
認定機関Project Management Institute (PMI)Construction Management Association of America (CMAA)
主な内容プロジェクトの立ち上げ、計画、実行、監視とコントロール、終了プロジェクト管理、コスト管理、品質管理、契約管理、リスク管理
取得のメリット国際的に認められた資格であり、キャリアの向上や給与の増加に寄与します。プロジェクト管理のベストプラクティスを学ぶことで、プロジェクトの成功率を高めることができます。コンストラクションマネジメント分野での専門性を証明し、キャリアの向上に役立ちます。建設プロジェクトの効率的な管理と成功率の向上に寄与します。
備考プロジェクト管理全般の知識とスキルが求められます。建設プロジェクトに特化した知識とスキルが求められます。

2. 継続的な自己啓発

プロジェクト管理や建設技術に関する最新の知識を学び続けることが重要です。定期的なセミナーや研修に参加することで、スキルをアップデートします。

3. リーダーシップ

プロジェクトチームを効果的にリードし、各メンバーの役割を明確にする能力が求められます。リーダーシップスキルは、プロジェクトの成功に直結します。

4. コミュニケーション能力

発注者、設計者、施工業者など、多くのステークホルダーと円滑にコミュニケーションを取る能力が必要です。これにより、プロジェクトの円滑な進行が保証されます。

5. 問題解決能力

プロジェクト中に発生するさまざまな問題を迅速かつ効果的に解決する能力が求められます。問題解決のためのクリティカルシンキングと柔軟性が重要です。

まとめ

建設プロジェクトにおける遅延、コスト超過、品質問題は、発注者にとって大きな課題です。この問題を解決するために注目されているのが、コンストラクション・マネジメント(CM)方式です。CM方式はプロジェクトの計画から設計、施工、運用までの全フェーズを管理し、発注者の利益を最大化する手法です。

本記事では、CM方式の基本定義、歴史、他の管理手法との違い、具体的なメリットについて解説しました。また、設備管理におけるCM方式の魅力についても紹介しました。

また、日本国内の代表的なCM会社の特徴と年収情報を提供し、CMr(コンストラクション・マネージャー)に必要なスキルについても解説しました。

CMrに求められるスキルは高く、ハードルは低くはありませんが、それに見合う十分な報酬があります。建築設備職の選択肢の一つとして、CMrも加えてみてはいかがでしょうか。

設備業界全体についてはこちらの記事で解説しています。

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この記事を書いた人

設備設計歴15年以上。
サラリーマンエンジニアとして日々奮闘中。
ニッチな設備業界を盛り上げるべく、情報を発信していきます。

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