「二次の経験記述、出題が変わったらしい」——一次試験の手応えを感じた矢先にこの噂を聞いて、不安になっていませんか。ネットで調べても古い例文記事ばかりで、何がどう変わったのか、はっきりしないままの方が多いはずです。
1級電気工事施工管理技士の第二次検定は、「自分の工事概要を書いて経験を述べる」従来型の経験記述から、「与えられた条件に対して、あなたの経験を踏まえて予測と対策を記述する」形式に変わりました。丸暗記した例文をそのまま書く戦い方は、もう通用しません。
ただし、恐れる必要もありません。変更点を正しく知り、「事項→理由→対策」の型で書く練習をすれば、独学でも十分に戦えます。
この記事では、試験機関が公表している実際の検定問題を根拠に、出題変更の中身、新形式の書き方、解答例の作り方までを、1級電気工事施工管理技士を保持する現役設備エンジニアが解説します。令和8年度の第二次検定は10月18日。一次の合格発表から二次までは2カ月弱しかありません。いま全体像をつかんで、最短ルートで準備を始めましょう。

この記事を書いた人|設備エンジニア
建築設備の設計実務20年以上の現役エンジニア。1級管工事施工管理技士・建築設備士を保有し、施工管理・設備系の国家資格を独学で取得。試験のリアルと現場の実務、両方の視点で「受かる勉強法」を発信しています。
二次検定の出題は変わった|「経験記述」はどうなったか

まず、いちばん気になる変更点からです。建設業振興基金が公表している検定問題を確認すると、出題の枠組みが次のように変わっています。
| 従来型(〜令和5年度) | 現行(令和6年度〜) | |
|---|---|---|
| 工事概要 | 自分が経験した工事の概要(工事名・工期など)を答案に記入 | 記入欄なし。問題側が条件を提示 |
| 記述のベース | 自分が担当した現場の経験そのもの | 提示された条件に対し、「あなたの電気工事の経験を踏まえ」予測・対策を記述 |
| 問題の選択 | 出題テーマは年度で固定 | 問Aまたは問Bを選択して解答する形式が登場 |
| 丸暗記例文 | 使い回しが横行(失格リスクも) | 条件が問題側で変わるため、そのままでは対応不可 |
令和7年度の問題1では、問Aと問Bのどちらかを選び、たとえば「高さ10m以上の作業場への揚重作業を伴う電気工事」という条件に対して、墜落災害・飛来落下災害の観点からあなたが予測した事項とその理由、とるべき対策を記述させる出題でした。
つまり「経験記述が無くなった」わけではありません。自分の現場を書く欄が無くなり、経験の使い方が変わったのです。経験は「書く対象」から「解答の引き出し」になりました。

古い例文集を丸暗記する勉強は卒業。経験を「引き出し」として使う練習に切り替えましょう。
試験の全体構成と日程|合格発表から二次まで2カ月弱


第二次検定は、記述式だけの試験ではありません。受検の手引によると、解答形式は五肢択一(マークシート)と記述式の混合です。知識を問うマークシート問題と、応用能力を問う記述問題の両方で得点する必要があります。
令和8年度の主な日程(1級電気工事施工管理技術検定)
- 第一次検定:令和8年7月12日(日)/合格発表 8月25日(火)
- 第二次検定:令和8年10月18日(日)/合格発表 令和9年1月8日(金)
- 一次の合格発表から二次本番まで、約8週間(2カ月弱)
配点と合格基準|公表されている情報だけを整理
公表されている情報の整理
- 設問ごとの配点:公表されていない(ネットの「配点予想」は推測)
- 合格基準:受検の手引に「得点の60%以上」と公表(実施状況等により変更の可能性あり)
配点が読めない以上、マークシートと記述のどちらも捨てずに仕上げるのが唯一の安全策です。
7週間は、現場をこなしながらの勉強としては長くありません。合格発表を待ってから始めるのではなく、一次の手応えがあった時点で二次対策を始めるのが、合格者に共通する動き方です。



発表待ちの8月が分かれ道。ここで型を作った人が10月に間に合います。
新形式の記述の書き方|「事項→理由→対策」の型


新形式の問いは、突き詰めると「危険や品質低下を予測する力」と「それを防ぐ手を打つ力」を、文章で示せるかを見ています。これは監理技術者が現場で毎日やっている思考そのものです。
解答の型(1セットを崩さない)
- 事項:提示された条件の中で、何が起きると予測するか(1文で言い切る)
- 理由:なぜその現場条件でそれが起きやすいのか(条件の言葉を使って書く)
- 対策:誰が・何を・どうするかを具体的に(あいまいな「注意する」「徹底する」で終わらせない)
ポイントは、理由と対策に問題文の条件を反映させることです。たとえば「高さ10m以上の作業場」「揚重作業」という条件が与えられたら、理由にも対策にもその言葉が入っているのが正しい答案です。汎用の暗記文をそのまま書くと、条件とかみ合わず説得力を失います。
試験では制限された行数で簡潔に書くことが求められますが、実務においては、この「予測→理由→対策」を朝礼や安全指示書で毎日回しています。日々の現場のKY(危険予知)を試験の言葉に翻訳するだけ——そう捉えると、新形式はむしろ現場経験者に有利な試験です。
骨組みの例(筆者作成・「高所での資材揚重がある」という自作条件を想定)
- 事項:揚重作業中の吊り荷の落下により、下部作業員が負傷する災害を予測した
- 理由:上下作業が同時に発生しやすく、吊り荷の直下に作業員が立ち入るおそれがあるため
- 対策:揚重時間帯を区切って直下を立入禁止区画とし、監視人を配置して合図を統一した
このように、事項は1文、理由は条件との因果、対策は「区画・配置・統一」のような具体動作で書きます。※上記は筆者が作成した骨組みの例で、実際の試験問題・模範解答ではありません。



私も本番は「現場でやってることを書くだけ」と割り切ってから、筆が進みました。
解答例の作り方|丸暗記が通用しない理由と正しい準備


「模範解答」は存在しない|探す前に知っておくこと


まず前提として、試験機関は第二次検定の模範解答を公表していません。書店やネットにある「模範解答」は、すべて各社・各人が作成した解答例です。
だから「模範解答を探して覚える」勉強は、新形式では効率が悪くなりました。条件が問題側で毎年変わる以上、覚えた文章がそのまま使える保証がないからです。この記事で示すのも「解答例の作り方」であって、唯一の正解ではありません。
経験の部品化|どんな条件にも対応できる仕込み
代わりにおすすめするのが、「自分の経験を部品化しておく」準備です。
経験の部品化(テーマ別に3点セットで書き出す)
- 安全管理:墜落・飛来落下・感電・酸欠など、自分の現場で予測した危険と打った手
- 品質管理:ケーブルの許容曲げ半径、接地抵抗、絶縁抵抗測定など、押さえた品質と確認方法
- 工程管理:他業種との取り合い、資材遅延、検査日程など、遅れの要因と調整の実例
この「部品」を持っておけば、本番でどんな条件が提示されても、条件に合う部品を選んで「事項→理由→対策」の型に流し込むだけで答案が組み上がります。過去の出題テーマ(安全・品質など)は、振興基金が公表している過去の検定問題で確認できます。
やってはいけない準備
- ネットの古い例文(旧形式の工事概要つき)をそのまま暗記する
- 経験していない工種・規模の話を、さも経験したかのように書く準備をする
- 「注意する」「徹底する」だけの対策文を量産する



部品化は通勤中のスマホメモでも進められます。現場の記憶が新しいうちが勝負。
記述以外の対策|マークシートは過去問が最短


五肢択一のマークシート問題は、一次検定と同じく過去問の反復が最短ルートです。出題範囲は施工管理法が中心で、一次の知識と重なる部分も多いため、一次の勉強の延長で得点源にできます。
過去の検定問題は、建設業振興基金のWEBサイトで公表期間中なら無料で閲覧・ダウンロードできます(第一次は正答も公表。記述式設問の解答例は公表されません)。市販の過去問題集を使う場合も、令和6年度以降の新形式に対応した年度版を選んでください。古い年度版は記述パートの構成が現行と異なります。勉強時間の作り方は忙しい社会人向けの資格勉強法でも詳しく解説しています。



記述に時間を割くために、マークシートは過去問で早めに仕上げるのがコツです。
独学が不安なら|記述の添削で仕上げる選択肢


ここまでの型と部品化で、独学でも答案は作れます。ただ、記述式には独学特有の弱点がひとつあります。自分の答案が採点者にどう読まれるか、自分では分からないことです。
「事項と理由がかみ合っているか」「対策が具体的になっているか」は、第三者に読んでもらうのがいちばん確実です。過去に記述式で不合格だった方や、文章に自信がない方は、プロの添削で仕上げる選択肢も検討してください。



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よくある質問
- 1級電気工事施工管理技士の経験記述は無くなったのですか?
-
無くなってはいません。自分の工事概要を記入する形式が終わり、問題側が提示する条件に対して「あなたの電気工事の経験を踏まえ」予測と対策を記述する形式に変わりました。経験が不要になったのではなく、経験の使い方が変わったと捉えてください。
- 第二次検定の配点は公表されていますか?
-
設問ごとの配点は公表されていません。ネット上の配点予想は推測です。合格基準は受検の手引に「得点の60%以上」と公表されています(実施状況等により変更の可能性あり)。確実なのは、マークシートと記述の両方で取りこぼしを減らすことです。
- 二次対策はいつから始めるべきですか?
-
一次試験の手応えがあった時点で始めるのがおすすめです。令和8年度は一次の合格発表(8月25日)から二次本番(10月18日)まで約8週間です。8月中に経験の部品化と型の練習を始めれば、9月からの答案演習に余裕が生まれます。
- 過去問だけで二次に受かりますか?
-
マークシートは過去問中心で対応できますが、記述は「解く」より「書く」練習が必要です。過去問で出題テーマの傾向をつかみ、自分の経験を型に当てはめて書き、可能なら第三者に読んでもらう。この3点セットで仕上げてください。
- 解答用紙の形式は事前に確認できますか?
-
解答用紙そのものは事前配布されませんが、公表されている過去の検定問題から、記述の行数やおおよその解答スペースの感覚はつかめます。本番を想定して、限られた行数に収める練習をしておくと安心です。
- 古い例文集やあんちょこは使えませんか?
-
旧形式(工事概要つき)の例文をそのまま覚えても、現行の出題にはかみ合いません。ただし、例文の中の「対策の具体表現」は部品として参考になります。丸暗記ではなく、自分の経験に置き換えて再利用してください。
まとめ
- 二次の記述は「自分の工事概要を書く」形式から「条件提示+経験を踏まえた記述」へ変わった
- 令和8年度の二次は10月18日。一次合格発表からは約7週間
- 「事項→理由→対策」の型+経験の部品化で、条件が変わっても対応できる
- 古い例文の丸暗記はかみ合わない。自分の経験に置き換えて使う
- 答案の仕上げは第三者の目。不安なら添削サービスの活用も



型と部品がそろえば、記述は怖くありません。10月の本番で会いましょう。
参考にした公式情報
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