排水計画の中で避けては通れないポンプアップ。広大な敷地の場合には排水槽と排水ポンプのセットは欠かせません。
この記事では排水槽・ポンプの設定と、選定の関係式でわかりにくい部分について解説します。
排水槽と排水ポンプの関係式
一般的に普段使用している排水槽と排水ポンプそれぞれの容量についての関係式は、次のものだと思います。
V=(Qp-Qpu)T1+Qpu*T2・・・・①式
V:排水槽容量[L]
Qp:排水槽へのピーク流入量[L/min]
Qpu:排水ポンプ揚水量[L/min] (ただしQp≦Qpuの場合には(Qp-Qpu)=0とする)
T1:ピーク排水時の継続時間[min] 給水と同様に30min程度とする。
T2:排水ポンプの最短運転時間[min] 5min(小型)~15min(大型)
※この式で注意すべきは、予備ポンプ設置を前提としており非常時には同時運転を行うこととされています。
ここでT2の排水ポンプの最短運転時間とは?と疑問に思ったことはありませんか?
私もいくつか書籍を調べてみたのですが、なぜこの最短時間が設定されているのかわかりませんでした。
そこで、ポンプメーカーに上記式の意味について問い合わせをしてみたところ以下のような回答がありました。
ポンプの運転時間というよりもポンプの発停頻度のことが関係していると思われる。
ポンプは発停を頻繁に繰り返すと故障や寿命が短くなるため、社内基準で1時間あたり10回を限度という目安がある。これを逆算すると運転時間は6minということになるため、5min以上と定められていると思われる。
逆に言えば運転時間が3minでも、その後しばらく運転したければ発停頻度は少ないことになるので問題はないということになる。
ポンプメーカー回答
排水槽の容量
排水槽容量は①式によって求める以外にも、以下に示す②式によって求めることもできます。
この場合排水ポンプは排水槽容量を5min~10minで排出する揚水量とします。
V=(Qd/T)・K・・・・②式
T:排水槽に排水を流入させている部分への1日あたりの給水時間[h]
Qd:排水槽に流入する1日平均排水量[L]
K:時間最大排水流入量とするための係数 2.0~2.5
①式、②式の注意点
- 汚水や厨房排水などの排水量の変動が著しい場合には①式、②式のどちらを使用してもよい。
- ①式を利用する場合には、まずピーク排水流入量(給水負荷に準拠)、排水ポンプ揚水量を先に算定したのちに排水槽の容量を決定するのが一般的
- 湧水など排水量が一定の場合には排水槽は小容量とし、排水ポンプの排水量は時間平均排水流入流量(Qd/T)の1.2~1.5倍とする。一般には排水ポンプ揚水量の10~20分で排水する容量を排水槽容量とする。
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