1級管工事施工管理技士 過去問|令和7年第3問 ベルヌーイの定理解説

1級管工事施工管理技士 令和7年第3問 ベルヌーイの定理 過去問解説のアイキャッチ

1級管工事施工管理技士 第一次検定の令和7年 第3問は、ベルヌーイの定理を使って水平円管内の静圧を求める計算問題でした。風速・密度・圧力損失といった条件から、もう一方の点の静圧を逆算するタイプ。「½ρV²」の½を忘れるだけで一発アウトの、地味に差がつく1問です。

本記事では1級建築士+建築設備士+1級管工事施工管理技士を保持する現役設備設計者の視点から、結論→3ステップ解法→誤答パターン→実務目線の流れで一気に整理します。式は1本、覚えるのは「全圧は減る一方」だけ。読み終わるころには、本番で迷わず正解を選べるレベルになっています。

ベルヌーイの定理は流体力学の入口。ここを腹落ちさせると、第4問のダルシー・ワイスバッハや、ピトー管・ベンチュリ管の問題まで地続きで解けるようになりますよ。

目次

令和7年 1級管工事 第3問はこんな問題(条件と選択肢)

令和7年 第3問は、水平な円管内を空気が流れる状況で、点Aと点Bの2点における風速・静圧・圧力損失が与えられ、点Aの静圧 P_A を求める計算問題です。条件を表で整理します。

項目記号
点Aの風速V_A5 m/s
点Bの風速V_B10 m/s
点Bの静圧P_B5 Pa
AB間の圧力損失ΔP_loss5 Pa
空気の密度ρ1.2 kg/m³

選択肢は次の4つ。正解は④ 55 Paです。

  • ① 16 Pa
  • ② 32 Pa
  • ③ 45 Pa
  • ④ 55 Pa ← 正解

問題本文・図は公式PDFを下のボタンから確認できます。

※公式サイトでは過去年度のPDFが順次削除される場合があります。リンク切れ時は過去問アーカイブサイトをご利用ください。

条件は5つ、求めるのは1つ。設備の計算問題はこの「与えられた値を式に代入するだけ」のパターンが大半です。

結論:正解は④ 55 Pa→3ステップで解ける

先に答えだけ知りたい方のために、結論と最短ルートを示します。P_A = P_B + 動圧差 + 圧力損失 = 5 + 45 + 5 = 55 Pa。これだけです。

  1. ステップ①:圧力損失込みのベルヌーイ式を立てる
    P_A + ½ρV_A² = P_B + ½ρV_B² + ΔP_loss
  2. ステップ②:動圧差 ½ρ(V_B² − V_A²) を計算
    = 0.5 × 1.2 × (100 − 25) = 45 Pa
  3. ステップ③:P_A に揃えて足し算
    P_A = 5 + 45 + 5 = 55 Pa

覚えるべきは「上流側(風速が遅いA点)のほうが静圧は高い」「全圧は下流に進むほど減る」の2点だけ。式を暗記するより、この感覚を持つほうが本番で迷いません。

ここまででサクッと正解を確認したい人はOK。仕組みから理解したい人は、続きから3ステップを丁寧に追いましょう。

ベルヌーイの定理とは|静圧・動圧・全圧の3点セット

ベルヌーイの定理は、流体のエネルギー保存則を圧力で表したもの。「静圧+動圧(+位置圧)=全圧=一定」という1本の式に集約されます。水平管なら位置圧は無視できるので、実質「静圧+動圧=全圧=一定」です。

📘 前提条件

ベルヌーイの定理は 非圧縮・定常流(密度が一定で時間変化しない流れ)かつ 同一流線上 で成立します。粘性のある実流体では、損失項 ΔP_loss を加えた拡張版(本問で使う形)で扱います。

用語意味
静圧 P流体が管壁を押す圧力。圧力計が示す値P [Pa]
動圧 ½ρV²流体の運動エネルギー由来の圧力½ × ρ × V² [Pa]
全圧 P_t静圧と動圧の合計。流れが持つ総エネルギーP_t = P + ½ρV²

圧力損失がない理想流体の場合

理想流体では P_A + ½ρV_A² = P_B + ½ρV_B²。動圧が増えれば静圧が減る、いわゆる「同一流線上では速い流れほど静圧が低い」という関係です(外力やエネルギー付加がない区間に限る)。航空機の翼が揚力を発生させる原理も、ベンチュリ管で流量を測る原理もここに集約されます。

圧力損失込み(実際の流体)の場合

本問のように摩擦や局部抵抗を考慮するときは、下流側に圧力損失 ΔP_loss を足す。これにより「全圧は下流ほど単調に減る」という性質が表現されます。

P_A + ½ρV_A² = P_B + ½ρV_B² + ΔP_loss

左辺が上流(A点)の全圧、右辺が下流(B点)の全圧+AB間で失われた分。送風機が全圧を持ち上げ、ダクト内で全圧が単調に減っていくイメージを頭に入れておくと、本問のような「上流の静圧を求める」設問でも、迷わず式を立てられます。

※「全圧は減る一方」は 損失だけを考える区間 での話。送風機・ポンプなどでエネルギーが加わる区間では全圧は上昇します。本問のような「機器のないダクト区間」では減る一方、と整理してください。

「全圧は減る一方」さえ覚えれば、ΔPを足す側・引く側で迷うことはありません。上流が大きい・下流が小さい、ただそれだけです。

解法ステップ①:圧力損失込みの全圧バランス式を立てる

まずは式を立てるところから。水平管なので位置圧は無視、圧力損失込みのベルヌーイ式は次の通りです。

P_A + ½ρV_A² = P_B + ½ρV_B² + ΔP_loss

求めたいのは P_A なので、左辺に P_A を残して右辺に集める形に変形します。

P_A = P_B + ½ρ(V_B² − V_A²) + ΔP_loss

つまり「下流側の静圧」+「動圧の差(増えた分)」+「失われた圧力損失」の3項を足すだけ、という構造になります。ここで½を絶対に落とさないこと。動圧の本体は ρV² ではなく ½ρV² です。

📘 補足|なぜ「全圧」で揃えるのか

静圧と動圧をバラバラに比較しても答えは出ません。静圧+動圧=全圧を1つの量として扱い、上流の全圧から「進む過程で失われた分(圧力損失)」を引いたものが下流の全圧、という考え方が損失込みベルヌーイの本質です。

「上流=下流+損失」の3項構造さえ書ければ、ステップ①は突破。あとは数字を入れるだけです。

解法ステップ②:動圧差 ½ρ(V_B²−V_A²) = 45 Pa を出す

次に、動圧差 ½ρ(V_B² − V_A²) を計算します。値を順に代入していきます。

  • V_B² = 10² = 100
  • V_A² = 5² = 25
  • V_B² − V_A² = 100 − 25 = 75
  • ½ρ = 0.5 × 1.2 = 0.6
  • 動圧差 = 0.6 × 75 = 45 Pa

ここで重要なのは、速さの2乗で効くという点。風速が2倍になれば動圧は4倍。本問でも V_A=5 と V_B=10 で2倍差ですが、動圧では V_A²=25・V_B²=100 と4倍の開きが出ています。

もうひとつ押さえたいのが、動圧は「絶対値」ではなく「差」で効くこと。本問の式では「V_B² − V_A²」のように差を取るので、両点の動圧を別々に計算してから引いてもOK、最初から差をまとめてもOK。電卓を叩く回数が少ないのは後者です。

📘 暗記推奨|空気の動圧係数 ½ρ = 0.6

20℃乾き空気では ρ = 1.2 kg/m³ がほぼ固定値。よって ½ρ = 0.6 は試験本番で何度も使う係数です。電卓に毎回 0.5 × 1.2 を叩き直すと時間ロスなので、0.6 をそのまま頭に入れておくと計算が一気に速くなります。

0.5 × 1.2 = 0.6 を最初に出しておくと、以降の計算が一気に楽になります。動圧の係数として暗記してしまうのもアリです。

解法ステップ③:P_A = P_B + 動圧差 + 損失 = 55 Pa

最後に、3つの値を足し合わせれば完了です。

P_A = P_B + 動圧差 + ΔP_loss
= 5 + 45 + 5 = 55 Pa

正解は④ 55 Pa。物理的なイメージとしては、上流(A点)のほうが静圧が高いのは自然な結果です。下流(B点)に進むにつれ、動圧が増え(流速が上がる=管が細くなる等の結果)、しかも摩擦損失でエネルギーを失うため、静圧は持ち分を吐き出して下がっていく――という流れになっています。

検算:全圧で確認

不安なら全圧で検算しておきましょう。

  • A点の全圧 = 55 + 0.5×1.2×25 = 55 + 15 = 70 Pa
  • B点の全圧 = 5 + 0.5×1.2×100 = 5 + 60 = 65 Pa
  • 差 = 70 − 65 = 5 Pa = ΔP_loss

A点の全圧(70 Pa)からB点の全圧(65 Pa)に進む間に、ちょうど5 Paだけ全圧が失われています。問題で与えられた圧力損失と一致するので、計算は正しい――という流れで検算できます。

「全圧は減る一方」という大原則さえ守れていれば、計算結果が正しいかどうかは検算で必ず見抜けます。

よくある間違い3パターン|選択肢①②③の落とし穴

正解は④ですが、誤答の①②③もそれぞれ「ありがちなミスを誘う罠」として配置されています。本番で同じミスをしないために、それぞれの落とし穴を解析しておきましょう。

罠①:選択肢③ 45 Pa(動圧差だけで止めるミス)

動圧差を計算して45 Paを出した瞬間に「これだ」と飛びついてしまうパターン。P_B(下流静圧)と ΔP_loss を足し忘れています。「P_A は3項の足し算」と最初に意識していれば回避できる罠です。

罠②:選択肢② 32 Pa(½を二重に掛けるミス)

動圧の式を「½ × ½ρV²」のように½を二重に掛けるパターン。0.5×0.5×1.2×75 ≒ 22.5、これに P_B+ΔP=10 を足すと32.5 Paで、選択肢②に近い値が出ます。式の構造を曖昧に覚えていると誘い込まれる罠です。動圧は「½ρV²」ひと塊、と完成形で覚えるのが安全策。

罠③:選択肢① 16 Pa(式の構造から見直し)

これを選んだ場合は式の立て方そのものが崩れている可能性が高いです。動圧の項を片方だけ抜き、密度を取り違えるなど、複数のミスが重なって出てくる値。もし演習でこの選択肢を選んでしまったら、いったん基本に戻ってベルヌーイ式の3項構造から復習してください。

誤答の値は適当に並べてあるのではなく、「ミスの結果出る数値」が意図的に置かれています。だから「計算したら選択肢にあった=正解」という油断は禁物です。

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試験=公式暗記、実務=ダクトサイザー任せ(建築設備士の本音)

ここからが本記事の核。設備設計の現場で「ベルヌーイ式を電卓で手計算する」場面はほぼありません。1級建築士+建築設備士として現役で設備設計に関わる立場から、正直に書きます。

①圧力損失計算は専用ソフトが自動で回す

ダクトの静圧計算はダクチュレーター/Revit MEP/CADWe’ll Tfasなどのソフトが標準。エルボやダンパといった局部抵抗の係数もメーカーカタログから自動引用され、設計者は区間ごとの圧力損失合計を一覧表で受け取るだけです。手で½ρV²を電卓に打ち込むのは、検算と説明資料を作るときくらい。

②現場で読むのは「機外静圧」「全圧」という機器スペック

むしろ実務で頻繁に使うのは、ファンの機外静圧といった機器の性能曲線上の数値。ベルヌーイ式の項そのものではなく、「機器が持ち上げてくれる全圧」と「ダクト系統で失う全圧」が釣り合うかを、機器選定の段階で読み合わせる作業です。

③圧力損失は「直管+局部」の積み上げ

ΔP_loss は問題では1つの値で与えられますが、実務では直管摩擦損失+エルボ・分岐・ダンパ等の局部損失の積み上げ。局部損失は「等価長換算」または「動圧倍数(½ρV²×ζ)」で算定するのが標準で、ここでベルヌーイ系の動圧 ½ρV² がベースとして効いてきます。式そのものは表に出ないが、考え方の根っこは現役で使われているのです。

④空気密度ρ=1.2 kg/m³は「20℃乾き空気の標準値」

試験では「ρ=1.2 kg/m³」が所与ですが、実務では温度・標高で密度補正を入れます。高地の空調・高温排気・厨房排気などでは1.2のままでは合わない。逆に言えば、「1.2は20℃乾き空気の概数」という出自を知っておけば、現場で迷ったときに自分で補正できます。

📘 実務メモ|ρの補正の目安

厨房排気(200℃級)では密度がおよそ 0.7〜0.75 kg/m³(条件により変動)、外気導入の冬期(0℃)では 1.29 kg/m³ 程度。標高差は1000mごとに 標準大気で約10〜12%減。試験では1.2固定で十分ですが、実務でソフトに値を入れるときは温度・標高の補正欄を見落とさないように。

関連過去問でセット学習|流体力学3点セット

1級管工事の流体力学分野は、レイノルズ数(第2問)→ ベルヌーイの定理(第3問)→ ダルシー・ワイスバッハ式(第4問)という3点セットで体系化されています。1問だけで覚えるより、3問まとめて解いたほうが定着が早いです。

※第4問(ダルシー・ワイスバッハ式)の解説記事は準備中です。公開次第、本記事からもリンクします。

レイノルズ数で「層流/乱流」を判定 → ベルヌーイで「全圧バランス」を取る → ダルシー・ワイスバッハで「圧力損失の中身」を計算。流体力学の地図はこの3点で完結します。

まとめ|式は1本、覚えるのは「全圧は減る一方」だけ

本記事のポイントを整理します。

  • 正解:④ 55 Pa
  • :P_A + ½ρV_A² = P_B + ½ρV_B² + ΔP_loss(圧力損失込みベルヌーイ)
  • 3ステップ:式を立てる → 動圧差45 Paを出す → 5+45+5=55 Pa
  • 誤答の罠:③は動圧差だけで止めるミス、②は½を二重に掛けるミス、①は式の構造ごと崩れているサイン
  • 実務:ダクトサイザー/Revit MEPで自動計算、現場で読むのは「機外静圧」「送風機の全圧」
  • 暗記すべき定数:空気密度 ρ=1.2 kg/m³(20℃乾き空気の標準値)

「全圧は減る一方」――この1フレーズさえ腹落ちさせれば、ベルヌーイ系の問題は 頭の中で整理できる ようになります。式の暗記より感覚を優先してください。

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この記事を書いた人

現役20年の設備エンジニア。
「転⁠職⁠し⁠た⁠け⁠ど⁠残⁠っ⁠た」立場から発⁠信。

20〜30代の建設業エンジニアに、
「市⁠場⁠価⁠値⁠で⁠決⁠め⁠る⁠キ⁠ャ⁠リ⁠ア」を伝⁠授。

転職エージェント登録経験から、
「現⁠職⁠を⁠活⁠か⁠す⁠働⁠き⁠方」を発⁠信⁠中。

【保有資格】
・設⁠備⁠設⁠計⁠一⁠級⁠建⁠築⁠士
・建⁠築⁠設⁠備⁠士
・一⁠級⁠管⁠工⁠事⁠施⁠工⁠管⁠理⁠技⁠士
・一⁠級⁠電⁠気⁠工⁠事⁠施⁠工⁠管⁠理⁠技⁠士 ほか

詳⁠し⁠い⁠プ⁠ロ⁠フ⁠ィ⁠ー⁠ル⁠は⁠こ⁠ち⁠ら

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