就職・転職活動を行う中で設備業界に興味を持たれた方、あまり馴染みのない業界だけに色々と不安に思われることも多いのではないでしょうか。

まったくの未経験だがやっていけるのだろうか?



この年齢からでも転職できるのだろうか?
結論から言いますと、「まったく問題ありません」
筆者はこの業界で働き始めて10年以上になりますが、私を含めて皆さん未経験の状態からスタートしています。
新卒の場合は当然すべてが未経験ですし、中途の方でも前職が「専業主婦」であるとか、「アパレル関係で働いていた」といったように設備とは無関係だった方も多いです。未経験から実務経験を積むうちに仕事を覚えて正社員になった方もいらっしゃいます。
この記事では設備業界の現状と仕事内容をわかりやすく解説し、設備業界への就職・転職を後押しします。
- 設備業界で働くことのイメージ
- 設備業界で働くことのメリット、デメリット
- 代表的な職種の仕事内容
設備業界とは建築設備(電気・ガス・水道・空調など)に関する業界のこと
建築設備の仕事は建設業の一部で、大きく以下4つの業種に分類することができます。
電気工事
電気工事は建物で使用する電気の引込設備(受変電設備)や照明、コンセントを設置する工事です。電気なしには建物は全く機能しないので、電気工事に関する求人は無数にあります。


電気通信工事
電気通信工事は電話やLAN、放送設備といった通信インフラを設置する工事です。TV電波障害防除設備といった、特殊な設備も含まれます。


管工事
管工事は建物内の空調、換気、給排水、ガス設備等の設置を行う工事です。スプリンクラーなどの消火設備も管工事に含まれます。


機械器具設置工事
プラント設備や集塵設備など、特定の機械器具の設置に特化した工事を指します。


建設・設備業界には数多くの求人があります!



建設不況なんて言葉もあったけれど、最近の建設業の雇用状況はどうなっているのでしょうか?
国交省建設労働者需給調査によると、平成23年以降で労働者が過剰となっている期間はほとんどなく、今日に至るまで慢性的な人手不足であることがわかります。


とりわけ設備業界の人手不足は深刻で、数多くの優良求人があります。



建設業界の中でも設備系職種の雇用は特に安定しています。この世に建物がある限り仕事が無くなることはありません。
経験・スキル・資格によっては年収1,000万超も!残業は職種・時期による
設備業界の平均年収は415万円
気になる設備業界の年収ですが、業界全体平均年収415万円、月給換算で35万円(建設業全体は510万円)となっています。
これはあくまで平均ですので、実際の分布は300〜1500万円とかなり幅広い分布となっています。
資格の有無で平均年収が100万円違ってくる世界で、向上心があり資格取得に熱心な方は大幅な年収アップが見込めます。
平均労働時間は170時間 ただし長期連休休めない職種も・・・
設備業界の平均労働時間は170時間程度となっていますが、これもあくまで平均で繁忙期には休日出勤もあることが多いです。
特に改修工事は顧客の長期連休中しか作業できないケースがあります。盆暮れ正月の長期連休は基本休めないと考えておいた方がよいかもしれません。ただしその分代休は取得できるので、平日の安い・空いているときに旅行にいけるといったメリットもあります。
また最近では育休や、産前産後休暇、生理休暇など女性が働きやすい環境を整えている会社が増えてきています。フレックスタイム制やテレワークを活用することで、より柔軟な働き方が可能になってきています。
設備工事の魅力は抜群の将来性とスケールの大きな仕事ができること
大変なことも多い設備業界ですが、それでもここまで長く続けてこられたのには理由があります。
なんと言っても自分が携わった建物を家族や友人に自慢できることが、一番の魅力だと思います。
設備業界 おすすめ職種4選
ここまで業界全体について話をさせていただきました。なんとなくイメージは掴めたでしょうか?
ここからは、代表的な4職種について解説していきます。
施工管理
施工管理はいわゆる現場監督で、工事が円滑に進むよう各種の調整を行う仕事です。施工管理業務は主に「工程管理」「安全管理」「品質管理」「原価管理」の4つに分けられます。
- 工程管理
-
工期に間に合うよう、作業スケジュールの調整を行います。
- 安全管理
-
現場の安全な作業環境を整えるため、安全点検や作業員の健康チェックなどを行います。
- 品質管理
-
対象設備が定められた基準や品質に沿っているかチェックします。
- 原価管理
-
予算内で工事が終わるように、資材の発注や工程などのコストを管理します。
上記の業務をこなしながら、入社後5年は下積み期間、10年以上でベテラン、現場自体を任せられる、といったキャリアパスが一般的です。
次に施工管理に必要な資格についてですが、工事に関する資格はかなりの数があります。その中でも代表的なものに施工管理技士(管、電気、電気通信)があります。
施工管理を募集している企業の一例を示します。
施工管理の平均年収は620万円となっており、大手ゼネコン、サブコンに限定すれば1,000万円近い平均年収になっています。
ゼネコンやサブコンの施工管理については、別記事で詳しく解説しています。
ビルメンテナンス
ビルメンテナンスは建物を快適・安全・安心に継続して使用できるよう保全業務を行う仕事です。設備保全の仕事は「予防保全」「予知保全」「事後保全」に3つに分けられます。
- 予防保全
-
定期メンテナンスなどで機器の状態を確認し、トラブル発生を予防します
- 予知保全
-
データを分析して故障による部品交換が必要になる前に対処し、トラブルを予防します。
- 事後保全
-
実際に設備トラブルが起きた後に、建物機能を正常に戻すべく修理を行います。
ビルメンテナンスには電気工事士やボイラー技士等の資格があると有利で、ビル管理士や電気主任技術者資格をもっていれば年収500万円以上も狙えます。



ビルメンテナンスの仕事のやりがいや大変さって実際どうなんでしょうか?



仕事の大半は日常点検です。点検はルーチン化されているので負担は少ないです。



自分が管理している建物がランドマークであったりすると、毎日円滑に機能しているのは自分のおかげというプライドが持てるのがやりがいです。
- NECファシリティーズ
- 能美防災
- URコミュニテイ
ビルメンテナンスについてはこちらの記事で詳しく解説しています。


設備設計
設計の職種には大きく分けて意匠設計、構造設計、設備設計があります。その中で設備設計の仕事は建物に必須となるインフラに関する図面を作る仕事です。設計の業務は大きく以下の4つのフェーズに分けられます。
- 基本計画
-
プロジェクトの初期段階で行われるもので、設備システムの概要・コストなどを検討します。
- 基本設計
-
基本計画の概要を具体化し、機器の仕様やおよその配置・配管経路などの図面を作成します。
- 実施設計
-
基本設計の内容をさらに具体化し、実際に工事を行うための詳細な図面や仕様書を作成します。
- 工事監理
-
設計図通りに工事が行われているか、品質が確保されているかを工事の進捗に合わせて確認します。
- 日建設計や日本設計といった組織設計事務所
- 鹿島や竹中工務店といったゼネコンの設計部
- 高砂熱学工業や関電工といったサブコンの設計部
設備設計の年収は400〜1,000万円程度となっています。設備設計一級建築士を取得していれば経験にもよりますが1,000万円超も可能です。
設計事務所についてはこちらの記事で詳しく解説しています。


設備設計者として働く上でおすすめの資格には次のものが挙げられます。
- 建築設備士
- 一級建築士
- 設備設計一級建築士
- 電験3種
詳細は以下の記事で解説しています。






コンストラクションマネジメント
コンストラクション・マネジメントはコスト管理、スケジュール管理、社内調整など発注者側に立って支援を行う仕事です。企画、計画、設計、発注・契約、工事の5つのフェーズにおいてプロジェクトの価値を最大化するよう各種調整を行います。
顧客ごとに条件は異なるため、決まった仕事の型が少なく、自身の経験とスキルをもとに積極的に企画・提案していく能力が求められます。そのため未経験からの転職は難しく、元ゼネコン・サブコンなど実務経験のある中途採用者が多く活躍しているのが実態です。
その分年収は高く、800万円〜最高で1,500万円といった求人もあります。
- 日建コンストラクションマネジメント
- 明豊ファシリティワークス
コンストラクションマネジメントについてはこちらの記事で詳しく解説しています。


まとめ
この記事では設備業界の現状と仕事内容・待遇面と代表的な4職種について解説しました。
コンストラクションマネジメントは未経験では難しいかもしれませんが、施工管理やビルメンテナンス、設備設計は根気強さと向上心のある方であれば、どなたでもスキルを高めて長く仕事を続けることができます。
設備業界には高い将来性・魅力があります。一人でも多くの方と、同じ業界で働けることを願っています。
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