企業研究【熊谷組】:年収、就職難易度、業績、社風、福利厚生について口コミ解説〜やばい、きつい、激務は本当?〜

熊谷組は凖大手ゼネコンの一社です。

1898年に福井県で創業した熊谷組は土木の名門黒部ダム青函トンネルなどの巨大プロジェクトに実績があります。

土木のイメージが強い熊谷組ですが、海外ではTAIPEI101(台湾)等の高層建築も手掛け、近年では「台北ツインタワー」の建設にも取り組んでいます。

2017年には住友林業と資本業務提携を行い、中規模木造建築ブランド「with TREE」を立ち上げ、事業を多角化しています。

採用にもかなり力を入れており、「Believe。」をキャッチフレーズに、川口春奈さんを起用したTVCMでご存知の人も多いのではないでしょうか。

この記事では以下の内容について、実際に就職・転職した社員の口コミを元に、熊谷組で働くイメージが持てるよう詳しく解説しています。

  • 業績がよく安心して働ける企業なのか?
  • 就職難易度は?
  • どういった社風なのか?
  • どんな人材を求めているのか?
  • 面接はどういった感じなのか?どんな質問がくる?
目次

熊谷組の基本情報(年収・残業・有給・離職率)

社名株式会社熊谷組
本社東京都新宿区津久戸町2-1
設立1938年
資本金301億円余
従業員数2,654名(2024年3月時点)
平均年収
879万円
残業(月)
21.5時間
有給取得年平均
11.3
離職率
2.4

出典:就職四季報2026-2027年版

平均年収は800万円代後半と高水準。残業時間も同業他社と比べても少なめの20時間代前半となっています。離職率も低く、社員の定着度が高いと言えます。

熊谷組の社長・役員の年収は?

熊谷組社長の年収は公表されていませんが、2024年有価証券報告書によると取締役7名への報酬総額が約2億2千万円となっていますので、取締役の年収は平均で約3,100万円と推測されます。

熊谷組の就職難易度(新卒)

熊谷組の採用
  • 採用人員:事務系22人程度、技術系84人程度
  • 男女比:4:1
  • 採用倍率:総合職「約8倍」、技術職「約4倍」

熊谷組に学歴フィルターはある?

25年4月入社の採用実績校

大阪工大、久留米工大、日大、東大、明大、福井大、京都工繊大、東海大、芝工大、早大、長崎大、東理大、武庫川女大、信州大、九大、大阪府大、関大、摂南大、北大、愛知工業大、東京都市大、広島工大、熊本大、室蘭工大、千葉工大、日本文理大、福井工大、名城大、近大、九産大、国士舘大、三重大、山口大、青学大、大阪工大、帝京大、東京工芸大、東京電機大、東京農業大、東北学大、東北工大、北海学園大

熊谷組は大手企業でありながら、他業界の大手企業と比べると「入りやすい」企業であると言えます。採用大学も全国様々な大学から入社しており、学歴フィルターもほぼないと言えそうです。

熊谷組の会社業績

売上・営業利益率

売上高は10年前から着実に伸びてきており、5000億円代が目前です。営業利益率は同業他社と同様に、近年の労務費および資材高騰を受け低下していますが、請負金への価格転嫁が進み改善傾向です。

財務状況

業績に連動して資産も積み上がっています。2024年は大型工事の立替費用調達のため有利子負債が増大し、自己資本比率が下がっていますが、水準は他社と同程度です。

営業CF(キャッシュフロー)

本業からの現金収入を表す営業CFは概ね黒字で安定しています。特に2023年は、利益減少と売上債権の増加によりマイナスとなりました。

営業CFマージンは企業の売上高に対する営業活動による現金収入の割合を示す指標で、企業がどれだけ現金を生み出せているかを示し、経営状況の評価に用います。

営業CFがプラスであれば投資や債務返済が可能な状態を表し、マイナスの場合には資金繰りが悪化していることを示しています。

熊谷組の職種

熊谷組の職種と担当業務

土木施工管理

道路・橋・トンネル・ダムなどのインフラを中心とした土木工事の施工計画を作成し、品質、原価、工期、安全、環境を総合的に管理し、工事全体を指揮して利益を生み出す仕事です。

土木設計

現場の課題を解決するため、現地調査・構造設計・地盤解析等を実施し、設計変更や施工検討により現場支援を行います。また、設計施工案件での詳細設計の実施や技術指導の役割を担います。

土木積算

設計図書や仕様書を基に工事全体にかかる費用を算出し、工事の受注を目指します。

機電機械

土木事業における機械・電気のスペシャリストとして、シールドマシンなどの大型機械の計画や調達を行い、実際に工事が開始されると施工管理や安全管理などを行います。

土木IT・DX

土木事業における施工支援および自動化やAIなどの技術開発を通じてDX推進を実施し、業務の効率化と生産性の工場を測ります。ITから建設DX全般の幅広い業務対応が求められ、新規技術プロジェクトの立ち上げなどを実施、支援します。

機電機械

ものづくりの最前線を担う工事現場で、損益管理、請求書処理といった経理業務や近隣対応、庶務全般といった総務業務まで、技術以外を幅広く担当します。

土木IT・DX

工事獲得のために、営業・設計・施工が一体となってベストな提案ができるよう、社内外の窓口として営業活動を担当します。

建築施工管理

オフィスビル・マンション・病院・商業施設・工場等のあらゆる建築工事の施工計画を作成し、品質、原価工期、安全、環境を総合的に管理し、工事全体を指揮して利益を生み出します。

意匠設計

設計チームをまとめるプロデューサーの役割を担い、コンセプトを立案し、配置や平面計画、立面や断面計画をデザインし、建築をつくることが意匠設計の仕事です。

構造設計

地震大国である我が国において、「人の命」を預かるという使命感を持ち、RC造やS造、木造を含め、建築の空間を作ることが構造設計の仕事です。制震や免震の他、地球環境に関わる中大規模木造建築など、技術開発にも幅広く取り組みます。

設備設計

住宅から超高層ビルまで、すべての建築にエネルギーを与えるものが建築設備です。存在するが目には見えにくい「空気・水・電気」をコントロールして、快適な区間を作ることが設備設計です。省エネルギーに向けた技術開発にも取り組みます。

設電設備

建物には人が生活する上で必要不可欠な設備として、「給排水衛生設備」「空調・換気設備」「電気設備」があり、それらがしっかりと機能するように施工を行う仕事です。また、顧客ニーズに合わせ、その設備の使いやすさ、環境配慮、省エネなどの提案を行うとともに、建築、メーカー、専門工事会社間の連絡調整や、現場における設計監理、品質管理、コスト管理、工程管理、安全管理を行います。

建築積算

建設事業計画に関する資料(概要、設計図書等)に基づき、正確な建設コストを算出します。請負営業活動を受注に結びつけるため、欠かせない役割を担います。

管理系

総務・法務・人事・経理など様々な部門で専門的な知識を活かし、会社経営にも関わる業務ならびに財務状況等、担当現場の様々な情報を把握・管理し、必要に応じて作業所長に指示・助言を行う現場支援業務を行います。

営業

お客様へのヒアリングや工事受注に向けた企画立案、社内各部署との調整などを行います。利益確保や性能を落とさずにコストダウンを図れるかなどを社内の各部署と調整の上、工事を受注するのが仕事です。

研究

大型実験施設を用いた耐震・制震技術、木、音環境、無人化施工、大気や土壌・地下水浄化のための環境修復技術など、土木や建築分野における幅広い研究開発を担います。

熊谷組の社風は「明るくフラットな職場。まじめな人が多い。」

口コミでは「風通しが良い」「まじめ」「親身」などポジティブな意見が多く見られ、ネガテイブな意見はあまり見られませんでした。土木の特にトンネルに関する高い技術をもった先輩社員が多く、勉強になるといった声も多くありました。

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ベテランの技術者で、手本となるような方たちがいました。皆好きで建設にやりがいを感じて働いている方たちだと思うので、同じ意識を持っていれば居心地は良いと思います。
<30代後半・男性・施工管理> 出典:転職会議

昔は飲み会が多かったようですが、コロナ以降飲み会などは減ったようでした。上司からの飲みニケーションのようなものもありませんでした。特別な社内イベントなどもないためそこは良い点かなと思います。ボランティアなどで土日に出たこともありましたが、自分で出席も決められるので強制ではありません。
<20代前半・女性・事務> 出典:転職会議

自分が所属していた支店は昔からいる女性社員が幅を利かせていて、上の人も強く言う事のできない状況なのは疑問でした。そのような人たちに注意できずに無駄話が多いのも雰囲気を悪くしていたと思います。
<20代前半・女性・事務> 出典:転職会議

ある意味縦割りなので、そこを改善すればフレキシブルで良い会社になると思う。これからの若い世代が同じ経験をできるかは疑問。
<40代後半・男性・管理> 出典:転職会議

熊谷組の口コミ「やばい」「きつい」「激務」の真相は?

熊谷組は「やばい」のか?

「やばい」にも良い意味と悪い意味がありますが、熊谷組が「やばい」と言われる大きな要因は次の通りです。

バブル崩壊後の大規模リストラ

かつてはスーパーゼネコンに匹敵する規模の売上を誇っていた熊谷組ですが、バブル崩壊により規模が縮小。大規模なリストラが行われました。しかし、その後は身の丈にあった経営にかじを切り、力を取り戻しつつあります。
参考記事:「スーパーゼネコン級から転げ落ちた熊谷組の復活と教訓」タイヤモンドオンライン

バブル期に採用を抑えた負の影響で40代のミドル層が極端に少ない

バブル崩壊後の経営再建の中で、新卒の採用を極端に絞っていたためミドル層の割合が少なく、若手に負担がかかっているという側面もあります。そのような状況を打破するべく、新卒・中途ともに積極的な採用が行われています。

熊谷組の仕事は本当に「きつい」「激務」なのか?

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フレックスタイム制が導入され、現場でも制度の利用が可能になった。育児休暇の取得を積極的に後押しし、取得率100%を目指している。
<50代・女性・施工管理> 出典:転職会議

ワークライフバランスを充実させるための制度は充実しており不足はないと思います。フレックス、時短、在宅勤務が可能です。不妊治療のための休暇・休職制度もでき、さらなる女性活躍を推進しているようです。
<30代・女性・施工管理> 出典:転職会議

制度は充実していますが、現場は根本的な人手不足なため実際に休みを取ったり、残業を減らす業務調整は困難です。現場によっては22時以降も残業している職員も散見され休みをとるどころではありません。
<30代・女性・施工管理> 出典:転職会議

部署間の格差が大きい。現場配属でも、会社として労働環境の改善に力を注いでいるが工期と休暇のバランスをとっていくのは難しい印象を抱いている。今後の改善に期待するところである。
<20代後半・女性・施工管理> 出典:転職会議

ワークライフバランスをとるための制度は非常に充実しているようです。ただ、それを実行するために根本的な人手不足を解消する必要があり、そこが解消されていないことに対する不満の声が多くありました。
部門間の差も大きく、特に現場はワークライフバランスが取りにくいようです。

熊谷組の福利厚生は充実。住宅手当には不満の声も。

熊谷組の福利厚生は充実しています。他社にない福利厚生として様々なサービスを会員価格で利用できるWELBOXを導入しているのも特徴です。

休暇制度

赴任休暇
リフレッシュ休暇
育児・介護休暇
ボランティア休暇
妊活支援休暇
産前・産後休暇

育児支援

時差出勤
配偶者出産時休暇
子の看護休暇
時短勤務・育児休業

その他の制度

WELBOX
作業所手当
持株会制度
独身寮・社宅

WELBOX:旅行・スキルアップ・フィットネス等の幅広いサービスを会員特典付きで利用できるサービス

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単身者には会社がアパート等を借り上げてくれ、月5000〜10000円で住まわせてくれるため、経済的負担は少ない。
<20代・女性・経理> 出典:転職会議

一級建築士取得に対しては、支援が手厚く入社1年目は全員が予備校に入り(会社負担)、資格取得に向けて勉強ができる。借上げ寮は、実家から通勤できなければ全ての新入社員が入寮できる。寮費も水道光熱費込で1.6万円と安く負担がかなり軽減される。
<50代・女性・施工管理> 出典:転職会議

社員寮に入れる人と入れない人が明確ではない。社員寮に入れている人より遠い場所に住んでいるのに社員寮に入れず、住宅手当がでないことがあった。地方に行けば借り上げの社員寮に入れます。
<30代・女性・設計> 出典:転職会議

寮に入れる年齢は30歳まででそれ以降は住宅等の手当はなく、寮に入っている社員とそうでない社員の待遇に大きな差がある。住宅手当の検討を職員会が打診したがゼロ回答であった。
<50代・女性・施工管理> 出典:転職会議

熊谷組は住宅手当がなく、独身の間は寮や借り上げのアパートに安く入れるため負担が少ないのですが、結婚や年齢により寮から出るといきなり全額自己負担となるため、その点について不満を持つ声が多いようです。

熊谷組の面接・選考ではどんな質問がくる?

熊谷組が求める人材:
・「自らを高め、未来をつくり、人を支える」ことができる人

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面接は一次と最終の二回でした。一次では二人ずつの集団面接でした。最終は役員3人いましたが、ほぼ意思確認のようなものでした。最後に海外出張は興味あるか聞かれます。興味がある方は入社後に海外希望の研修などがあるそうです。素直に行きたくないと言っても採用自体には関わらないかと思います。
<中途・男性・施工管理> 出典:転職会議

一次面接は3対3で行われる集団面接。志望理由や大学時代に頑張ったことなどオーソドックスな質問しか出てこなかった記憶。二次が最終で、役員、部長クラスのかたと3対1の個人面接。雑談的な感じで勧められていったような感じであった。学歴よりも人柄をみて選考されているイメージ。
<中途・女性・事務> 出典:転職会議

設計希望での応募でしたが現場に出られるか何度も確認されました。設計希望なのでずっとは無理ですと正直に答えましたが、面接官の表情が曇ったのを覚えています。設計募集に対してずっと現場でもいいと答える人の方が芯がない人間だと思いますので後悔はありません。
<新卒・女性・設計> 出典:転職会議

会社説明会の段階から、どの企業よりもリクルートに力を入れている印象を受けました。現役社員の話が聞けたり意見交換する場も設けられていてよかったです。面接が進むにつれ核心的な質問をされるようになります。会社の印象や理念や志望動機より、何がしたい?と問われた気がします。やりたいことがはっきりしている人材じゃないと受からないのかなと思いました。
<新卒・男性・施工管理> 出典:転職会議

まとめ

熊谷組は総じてまじめで明るい会社であり、技術力の高い社員も多くスキルアップを目指す人にはおすすめできる会社です。良い意味で「お節介な人」が多く、トラブルは皆で解決しようとする雰囲気があるようです。給与面では同業他社に少し劣る面もありますが、それでも世間一般の給与水準よりは高く、福利厚生も一通り揃っています。

ただバブル期に採用を抑えた副作用で、30-40代のミドル層が少ないという課題があり、その分が若手にしわ寄せがきているのも事実。良くとらえれば若いうちから責任ある仕事を任せてもらえるのですが、忙しさと責任の重さから退職してしまう人も。

そのような背景から、会社は新卒・中卒ともに積極採用を展開しており、やる気があれば今は「入りやすい」会社であることは間違いありません。

自分にはハードルが高いかもと考えていた人も、この機会に積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

設備設計歴15年以上。
サラリーマンエンジニアとして日々奮闘中。
ニッチな設備業界を盛り上げるべく、情報を発信していきます。

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