【BCP対応事例が充実】建築設備士2026/2月号 要約解説

建築設備士202602

今月号の建築設備士はBCPに特化した建物の竣工報告が目立ちました。海水を積極的に利用したリゾナーレ下関など、注目の物件が揃っています。

目次

竣工フラッシュ① ライラックスクエア

ライラックスクエア

ライラックスクエアは、札幌市に位置するオフィス・商業・ホテルからなる複合施設です。

圧倒的なBCP性能が特徴で、基礎免震構造に加え、中圧ガスとA重油の双方に対応したデュアル燃料非常用発電機を備え、単独で14日間の事業継続が可能です。

受変電設備や防災センターは浸水リスクを回避するため2階に配置されています。

空調には高効率な水冷式パッケージ方式を採用し、豊富な井水を冷却補助熱源や外気冷房に活用しています。

また、給水は通常時から井戸水を100%利用し、排水面でも14日分の緊急排水槽を確保しています。

高効率機器やICTによる統合管理により、ZEB Readyも達成した次世代型施設です。

竣工フラッシュ② 第一生命京橋キノテラス

第一生命京橋キノテラスは、日本一の高さ(竣工時点)を誇る中高層木造ハイブリッド構造のオフィスビルです。

効率を最大化する散水機能付空冷ヒートポンプチラーを熱源とし、専有部には床下のOAフロアをチャンバーとして活用した床吹出空調方式を導入しています。

給排水では、雨水を利用した雑用水系統や、災害時に排水を一時貯留できる緊急排水槽を備え、高いBCP性能を確保しています。

電気設備は高圧2回線受電に加え、24時間稼働可能な非常用発電機を設置しています。また、照明や防災設備を「設備プレート」へ集約し、無線制御LEDを採用することで、木天井の意匠性を損なわず、将来の可変性にも対応可能な計画としています。

竣工フラッシュ③ リゾナーレ下関

リゾナーレ下関

リゾナーレ下関は、関門海峡に面したウォーターフロントの環境配慮型リゾートホテルです。

海水の多面的な利用が特徴で、インフィニティプールへの給水や水冷チラーの冷却水に加え、海水を用いた地産地消のプール滅菌システムにより、塩素臭の低減と省資源化を実現しています。

空調には、水冷チラー排熱と客室排水熱を活用したハイブリッドシステムを採用し、プールの除湿や昇温負荷を効率的に処理します。

客室では、照明スイッチと連動して不在時に設定温度や換気量を抑える自動緩和制御を導入しています。

給湯はヒートポンプとマイクロコジェネ排熱を組み合わせ、省エネとBCPを両立。これら先進技術により、ZEB Readyも達成しています。

竣工フラッシュ④ ONE FUKUOKA BLDG

ONE FUKUOKA BLDGは福岡市の「天神ビッグバン」による大型複合ビルです。

地域冷暖房(DHC)を熱源とし、CO2除去機能付きデシカント外調機ダブルスキン太陽追尾ブラインドにより高い省エネ性を実現しています。

電気設備は22kVの3回線スポットネットワーク受電に加え、中圧ガスとA重油の双方に対応した2,500kVAのデュアル燃料ガスタービン発電機2基を備え、高いBCP性能を誇ります。

また、新開発のダンパーを用いた加圧防排煙方式や、設備用統合ネットワーク、無線制御による調光調色LED照明など先進技術を凝縮し、ZEB Readyも達成した次世代ビルです。

顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」がもたらす建築設備計画の変革

FreeiDは、一度の顔情報登録で入退館やエレベーター、宅配ボックスなどの利用を可能にする顔認証IDプラットフォームです。

従来の鍵やICカードに依存した物理的な制御から、身体的特徴をIDとする制御への移行によりアクセス管理の自動化・柔軟化が進んでいます。

特に大規模施設では、クラウド上でのリアルタイムな権限管理により、運営側の管理負荷が大幅に軽減されます。

また、動線計画とあわせて端末の設置角度や高さを設計段階から検討することで、立ち止まらずに移動できるシームレスな空間設計が可能となります。

将来的には、電気や水道と並ぶ基盤インフラとして都市全体へ波及することが期待されています。

東京電力福島第一原子力発電所見学報告

建築・都市の防災性能に係る調査研究WG(BCP WG)は、2025年7月に福島第一原子力発電所と廃炉資料館を見学しました。構内は安全管理が徹底されており、現在では敷地の96%で防護服不要の見学が可能です。

廃炉作業では、3・4号機の燃料取り出しが完了し、1号機ではカバー設置が進むなど着実な進展が確認されました。

汚染水対策では凍土遮水壁などの多層的な対策により、発生量が2014年度の約500㎥/日から大幅に減少しています。

設備技術者の視点からは、設備の信頼性、冗長性、非常電源の確保、情報伝達の多重化といったBCPの観点から多くの知見が得られた報告となっています。

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この記事を書いた人

設備エンジニアとして日々奮闘しながら、より良い職場を求めて転職活動中。
複数の転職エージェントに登録。
自己分析や企業研究で得た知見を発信していきます。
【保有資格】
・設備設計一級建築士
・建築設備士
・一級管・電気工事管理技士ほか
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