【空衛学会誌】2026年3月号:特集「気象の激甚化に対する備え」

空衛学会誌202603

皆さんは今月の「空気調和・衛生工学」にはもう目を通されましたか? 

2026年3月号(第100巻第3号)のメインテーマは「気象の激甚化に対する備え」です。

近年、記録的な猛暑やゲリラ豪雨、そして地震や火山噴火といった自然災害のリスクが高まっています。

今回の特集では、気象データの分析から実際の建築設備における対策、そして事業継続計画(BCP)やレジリエンスの取り組みまで、幅広い視点から解説されています。

本記事では、今月号の見どころやポイントを分かりやすくまとめてご紹介します!

目次

【特集】気象の激甚化に対する備え

1. 気象データから見た気候変動の動向と気象災害(中山哲士 氏)

地球の長い歴史や南極の氷床コアのデータから、現在の気候変動の特性を読み解く記事です。

広島気象台の過去140年以上のデータからは、近年「真夏日」や「猛暑日」の発生日数が急増していることが確認できます。

また、熊本県人吉での豪雨データを例に、災害は「経験したことがない」わけではなく繰り返されていることを指摘し、確かなデータに基づいた客観的な分析の重要性を訴えています。

2. 台風,ゲリラ豪雨などに対する建築面・設備面での対策および設計基準の見直し案(金津文夫 氏)

1時間降水量100mmを超えるような「記録的短時間大雨」が増加する中、建築物への浸水被害を防ぐための具体的な対策が紹介されています。

特に、設備機器の高所配置や水防ラインの設定といった「建築面」の対策と、雨水排水管の口径拡大や通気対策の充実といった「設備面」の対策が挙げられています。

今後は標準の設計降水量を150mm/h以上に設定することが妥当ではないかとの提案もなされています。

3. レジリエント・クーリング―気候変動時代における建築・空調システムの新たな視点―(篠田純 氏)

気候変動に伴う「熱波」に対して、居住者の安全を守るための「レジリエント・クーリング」という概念について解説しています。

熱波や停電が発生した際にも室内環境の悪化を防ぐパッシブ・アクティブな手法が紹介されており、将来の気象データを用いたシミュレーション評価の重要性や、サステナビリティ(環境負荷の抑制)との両立についても言及されています。

4. 富士山噴火への建築設備の視点からの備え(大塚清敏 氏ほか)

富士山の噴火を念頭に置いた、都市部への「大量降灰」に対する建築設備の対策についてまとめられています。

空調室外機や開放型冷却塔、エアフィルタを用いた降灰実験の結果から、機器が稼働中か停止中か、また火山灰が乾燥しているか湿潤しているかによって影響が大きく異なることが示されました。

降灰中は開放型冷却塔などの重要機器を停止しカバーで保護するなど、優先順位をつけた対応の必要性が説かれています。

5. 令和6年能登半島地震による建築設備の被害調査報告(木村剛 氏)

2024年1月に発生した能登半島地震における建築設備の被害状況と、地震後の継続使用性について調査した報告です。

調査の結果、市水断水や排水設備の機能停止が多数発生し、地盤沈下などによる配管の破断が復旧を遅らせる要因になったことがわかりました。

ライフライン途絶への対策として、代替水源の確保や配管の耐震化、非常用排水タンクの設置などの改善案が提案されています。

6. 地域性を考慮したレジリエンスの取り組み(北村俊貴 氏・伊藤光香 氏)

ダイダン(株)の新潟支店を事例に、水害リスクや大規模地震を考慮した次世代オフィスビルのレジリエンス機能の構築について紹介されています。

重要設備の2階以上への配置や、太陽光発電・蓄電池・EVからの給電(V2B)を組み合わせた電源システム、貯水機能付き給水管の採用など、発災から72時間自力で業務を継続できる拠点づくりの工夫が詳細に解説されています。


【講座・委員会報告・海外文献など】

特集以外にも、実務に役立つ情報が満載です。

  • 講座:外皮に関わる話題(3)様々なガラス 窓ガラスの進化(Low-E複層ガラス、真空ガラス、調光ガラスなど)と断熱改修の方法について解説。さらに、サーカディアンリズムなどを考慮した「ウェルビーイング」に貢献する窓ガラスの展望についても触れられています。
  • 委員会報告:近未来都市・施設のSBCM(スマートな事業継続マネジメント)検討 ウィズ・ポストコロナ時代を見据え、介護施設の業務継続ガイドラインや、工場のチョコ停(軽故障)対策、異常の早期発見ツールなどを取り上げ、複合災害に対するBCMのあり方について報告されています。
  • 海外文献紹介:病院の麻酔後ケアユニット(PACU)のための換気設計の最適化 医療従事者を余剰麻酔ガスから守るため、CFD(数値流体力学)を用いて換気気流パターンを分析。患者の頭部後方に還気口を設ける配置が最も暴露を低減できることが示されています。

【学会からのお知らせ・イベント情報】

今月号に掲載されている主なイベント情報やお知らせは以下の通りです。スキルアップや情報収集の機会としてぜひチェックしてみてください!

  • 令和8年度 空気調和・衛生工学会大会(袋井)学術講演論文募集
    • 開催日:令和8年9月2日(水)~4日(金)
    • 投稿締切:令和8年5月18日(月)17時
  • 令和8年度 初級・中堅技術者のための研修会(東京・オンライン)
    • 初級技術者向け:令和8年4月13日~17日(基礎知識を固める5日間)
    • 初級ステップアップ(空調熱負荷・空気線図):令和8年6月11日~12日
    • 中堅技術者向け:令和8年5月~令和9年2月にかけて開催
  • 第59回 空気調和・冷凍連合講演会(東京)
    • 開催日:令和8年4月16日(木)~17日(金)
  • 各支部のイベント
    • 【北海道】第60回学術講演会(3月16日)
    • 【東北】第15回学術・技術報告会(3月10日)や各種研修会
    • 【近畿】初級・中堅技術者のための基礎知識研修会

※各種研修会や講演会の詳細・申し込みは、学会ホームページをご確認ください。


おわりに

今月号の特集「気象の激甚化に対する備え」は、これからの時代に設備技術者が直面する課題に対して、非常に実践的かつ示唆に富む内容でした。

特に、能登半島地震の被害報告や富士山噴火へのシミュレーションなど、いざという時のために普段から「どのような準備をしておくべきか」を考えさせられる記事が揃っています。

気になった記事があれば、ぜひ「空気調和・衛生工学」2026年3月号の誌面で詳しく確認してみてください!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

設備エンジニアとして日々奮闘しながら、より良い職場を求めて転職活動中。
複数の転職エージェントに登録。
自己分析や企業研究で得た知見を発信していきます。
【保有資格】
・設備設計一級建築士
・建築設備士
・一級管・電気工事管理技士ほか
詳しいプロフィールはこちら

コメント

コメントする


reCaptcha の認証期間が終了しました。ページを再読み込みしてください。

目次