1級管工事施工管理技士 過去問|令和7年第12問 三相誘導電動機(保護・始動・インバータ)解説

1級管工事施工管理技士 令和7年 第12問 三相誘導電動機のアイキャッチ画像

1級管工事施工管理技士 第一次検定の令和7年 第12問は、三相誘導電動機に関する知識問題でした。電動機の保護・始動方式・インバータ運転について、4つの記述から「適当でないもの」を選ぶ形式です。

本記事では1級管工事施工管理技士を保持する現役設備エンジニアの視点から、結論→電動機の保護の考え方→始動方式とインバータ→選択肢検証→実務目線の流れで整理します。「短絡保護」と「過負荷保護」の違いを押さえれば、計算不要で取れる1点です。

管工事ではポンプ・送風機など三相誘導電動機を必ず扱います。保護と始動の知識は、現場の動力設計にそのまま直結する重要テーマですよ。

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目次

令和7年 1級管工事 第12問はこんな問題(知識型)

三相誘導電動機の保護の全体像。短絡保護は配線用遮断器・ヒューズ、過負荷保護は電磁接触器とサーマルリレーで行うことを示す図
📘 問題の要旨(要約)

三相誘導電動機に関する記述のうち、適当でないものはどれか。

選択肢は次の4つ。正解は①です。

番号記述の要旨正誤
短絡保護は、保護継電器と電磁接触器の組合せにより行う✕ 誤り
インバータ運転は電圧波形にひずみを含むため、電動機の温度が高くなる◯ 正しい
スターデルタ始動は、全電圧始動と比べ始動電流が1/3になる◯ 正しい
出力0.2kW以下の場合は、過負荷保護装置を設けなくてもよい◯ 正しい

問題本文は公式PDFで確認できます。

カギは「短絡保護」と「過負荷保護」は別物だということ。電磁接触器は“スイッチ+過負荷”担当で、短絡(ショート)を切るのは遮断器やヒューズの仕事です。

結論:正解は①|短絡保護は「遮断器・ヒューズ」で行う

先に答えだけ知りたい方のために結論をまとめます。正解は①。短絡(ショート)保護は、配線用遮断器(MCCB)やヒューズで行うのが正しく、「電磁接触器の組合せで行う」は誤りです。電磁接触器はサーマルリレーと組み合わせて過負荷保護を担います。

  • ①の誤り:短絡保護=配線用遮断器・ヒューズ。電磁接触器(+サーマル)は過負荷保護で、短絡電流は遮断できない
  • ②正しい:インバータの高調波(電圧ひずみ)で電動機の損失が増え、温度が上がる
  • ③正しい:スターデルタ始動は始動電流が全電圧始動の1/3になる
  • ④正しい:出力0.2kW以下の電動機は過負荷保護装置を省略できる(内線規程等)

結論だけ確認したい方はここでOK。保護方式や始動方式を整理したい方は、続きをどうぞ。

電動機の保護を整理|短絡保護と過負荷保護は別物

短絡保護(配線用遮断器・ヒューズ)と過負荷保護(電磁接触器+サーマルリレー)の役割分担を比較した図
保護の種類守る対象使う機器
短絡保護ショート時の大電流配線用遮断器(MCCB)・ヒューズ
過負荷保護過電流(長時間の過負荷)電磁接触器+サーマルリレー
地絡保護漏電・感電漏電遮断器(ELCB)

電磁接触器は「電源を入切するスイッチ」で、サーマルリレーと組み合わせて過負荷を検知・遮断します。短絡のような瞬間的な大電流を切る役目は、遮断器やヒューズ。この役割分担を取り違えたのが①の誤りです。

始動方式とインバータ運転のポイント

スターデルタ始動で始動電流・始動トルクが1/3に低減する仕組みと、インバータ運転の高調波対策を示す図
  • スターデルタ始動:始動時はスター結線で電圧を1/√3に下げ、始動電流を全電圧始動の1/3に低減する
  • インバータ運転:回転数を自在に変えられ省エネだが、出力波形に高調波(ひずみ)を含むため電動機の温度が上がりやすい
  • 軸動力:ポンプ・ファンの軸動力は回転数の3乗に比例。インバータでの流量制御は大きな省エネになる

選択肢を1つずつ検証|なぜ①が誤りか

① 短絡保護は電磁接触器の組合せで行う → ✕ 正解
短絡保護は配線用遮断器・ヒューズの役目。電磁接触器は過負荷保護用です。これが唯一の誤り。

② インバータ運転で温度が高くなる → ◯
高調波による損失増で温度が上がります。正しい記述です。

③ スターデルタで始動電流1/3 → ◯
電圧が1/√3になり、線電流換算で1/3。正しい記述です。

④ 0.2kW以下は過負荷保護を省略可 → ◯
小容量電動機は過負荷保護装置の省略が認められています。正しい記述です。

試験=保護の役割分担、実務=ポンプ・送風機の動力設計で使う

制御盤内の構成イメージ。配線用遮断器→電磁接触器+サーマルリレー→三相誘導電動機の順に並ぶ図

① 動力盤の保護協調

実務では、配線用遮断器(短絡保護)・電磁接触器+サーマル(過負荷保護)・漏電遮断器(地絡保護)を組み合わせて動力回路を構成します。それぞれの役割を理解していないと、保護協調の取れた盤設計はできません。

② インバータによる省エネ運転

ポンプ・送風機はインバータで回転数制御すると、軸動力が回転数の3乗で効くため大幅な省エネになります。一方で高調波対策(リアクトル等)も必要で、試験で学ぶ「温度上昇」の知識が実務の対策につながります。

③ 始動方式の選定

大容量の電動機は、始動電流を抑えるためスターデルタ始動やインバータ始動を選びます。始動電流が大きいと電源容量や電圧降下に影響するため、容量に応じた始動方式の選定が実務の勘どころです。

電動機の保護と始動は、ポンプ・送風機を扱う管工事の必須知識。役割分担を理解しておけば、盤の設計図を読むのもぐっと楽になりますよ。

まとめ|「短絡保護=遮断器・ヒューズ」を覚えるだけ

  • 正解は①|短絡保護は配線用遮断器・ヒューズ。電磁接触器(+サーマル)は過負荷保護
  • ②インバータの高調波で温度上昇、③スターデルタで始動電流1/3、④0.2kW以下は過負荷保護省略可…はすべて正しい
  • 保護は短絡・過負荷・地絡の3つを役割分担で覚える

電動機は毎年のように出る定番分野。保護・始動・インバータをセットで押さえれば、確実な得点源になりますよ。

解説を読んでも手応えが出ないときは

過去問の解説は答え合わせには向いていますが、分野そのものを組み立て直すには足りない場面があります。同じ論点で何度もつまずくなら、一度その分野を通しで学び直すほうが早いこともあります。

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