1級管工事施工管理技士 第一次検定の令和7年 第1問は、WBGT(暑さ指数)と熱中症患者発生率の関係をグラフから読み取る問題でした。計算は一切なし。4つのグラフの中から正しいカーブの形を選ぶ、知識ベースのグラフ読解型です。
WBGTが上がると熱中症はどう増える?⸺直線的? 山型? それとも指数カーブ? グラフの「形」を知っているだけで解ける問題ですが、現場でWBGTを毎日チェックしている現場監督なら体感でピンとくるはずです。本記事では体温調節が破綻するメカニズムから正解のカーブが導ける理由を解説し、残り3つの誤答パターンもまとめて潰します。

原論7問の先頭、第1問は環境工学からの出題。計算不要で知識だけで解けるので、確実に拾いたい1点です。
令和7年 1級管工事 第1問はこんな問題(グラフ読解型)


令和7年 第1問は、暑さ指数(WBGT)と熱中症患者発生率の関係を表すグラフを4つの選択肢から選ぶ問題です。横軸にWBGT、縦軸に熱中症患者発生率をとったグラフが4つ並び、正しいカーブの形を1つ選びます。
暑さ指数(WBGT)と熱中症患者発生率の関係を表したグラフとして、適当なものはどれか。4つのグラフ(①〜④)から1つ選ぶ。
計算は一切不要で、WBGTが上がったとき熱中症がどんなカーブで増えるかを知っていれば即答できます。問題本文・図は公式PDFを下のボタンから確認できます。
※公式サイトでは過去年度のPDFが順次削除される場合があります。リンク切れ時は過去問アーカイブサイトをご利用ください。



グラフの「形」を知っているかどうかだけの勝負。知識さえあれば10秒で解けます。
結論:正解は②/WBGTが上がると熱中症は指数的に急増する


正解は②。WBGTが上昇するにつれて、熱中症患者発生率が指数関数的に急増する右肩上がりの曲線を描くグラフが正解です。
- WBGT 25℃以下:発生率はほぼ横ばい(低い水準で推移)
- WBGT 25〜28℃:じわじわ上昇し始める
- WBGT 28℃以上:急激に跳ね上がる(指数的な増加)
直線でもなく、S字でもなく、「後半で一気に立ち上がる指数カーブ」。この形を覚えておくだけで正解にたどり着けます。WBGT 28℃がひとつの分水嶺で、ここを超えると人体の放熱能力が追いつかなくなり、熱中症のリスクが急速に高まります。



「28℃を超えたら一気に危険」。この1点だけ押さえれば、正しいグラフの形は自然と選べます。
WBGT(暑さ指数)とは何か|4つの要素で暑さを数値化する


WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)は、気温だけでなく湿度・輻射熱・気流を総合して「暑さの体感度」を数値化した指標です。環境省が熱中症予防の基準値として採用しており、建設現場でもWBGT計による測定が広く行われています。
WBGTの計算式
WBGTは測定環境によって計算式が異なります。
- 屋外(日射あり):WBGT = 0.7 × 自然湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
- 屋内・日射なし:WBGT = 0.7 × 自然湿球温度 + 0.3 × 黒球温度
最も大きな係数(0.7)が自然湿球温度にかかっている点が重要です。気温よりも湿度の影響が圧倒的に大きいことを意味しています。気温35℃でも湿度が低ければWBGTはそこまで上がらず、逆に気温30℃でも湿度が高ければWBGTは危険域に達します。
環境省の暑さ指数ランク
| WBGT | ランク | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 21℃未満 | ほぼ安全 | 通常の活動が可能 |
| 21〜25℃ | 注意 | 積極的に水分補給 |
| 25〜28℃ | 警戒 | 積極的に休憩を取る |
| 28〜31℃ | 厳重警戒 | 激しい運動は中止 |
| 31℃以上 | 危険 | 原則、運動中止 |
試験で問われるグラフと照らし合わせると、「厳重警戒」(28℃)を超えたあたりからカーブが急激に立ち上がる形になります。この表の感覚をグラフの形と結びつけて覚えておくと、本番で迷いません。



WBGTは「気温」ではなく「暑さの総合指標」。湿度の影響が7割を占めるのがポイントです。
なぜ「指数的に増加」するのか|体温調節の限界が引き起こす急増


WBGTと熱中症の関係が「直線」ではなく「指数カーブ」になる理由は、人体の体温調節メカニズムに閾値があるからです。ある地点を超えると一気に破綻する、いわば「ダムの決壊」のような現象が体の中で起きています。
体温調節の3ステップ
- 発汗:体温が上がると汗を出す
- 蒸発:汗が蒸発するときに気化熱を奪い、体を冷やす
- 放熱:皮膚表面から周囲への対流・輻射で熱を逃がす
この仕組みが正常に機能しているうちは、WBGTが多少上がっても体温は維持できます。グラフで言えば、カーブがまだ緩やかな領域です。
WBGT 28℃を超えると「蒸発が止まる」
WBGTが高い環境は高温かつ高湿度を意味します。湿度が高いと、汗をかいても蒸発しない。蒸発しなければ気化熱を奪えない。放熱の主力が封じられた状態です。
おおむねWBGT 28℃を超えると、発汗による冷却が追いつかなくなります。体内に熱がこもり、深部体温が上昇し始め、脳や臓器に影響が出る。ここが閾値です。閾値を超えると放熱能力の限界を一気に突破するため、熱中症の発生率は直線的ではなく指数的に跳ね上がります。
個人差(年齢・体力・持病・水分摂取量)はあるものの、集団レベルで統計を取ると、このパターンは再現性が高く、疫学データでも指数カーブが確認されています。試験で出題される背景には、こうした科学的根拠があります。



「汗が蒸発しなくなる → 体温が下がらない → 一気に熱中症」。この因果を知れば、指数カーブの形が腑に落ちます。
誤答パターン|他の選択肢はなぜ不適当か


正解②以外の3つのグラフには、それぞれWBGTと熱中症の関係を誤解している要素が含まれています。なぜ不適当なのかを理解しておくと、類似問題でも応用が利きます。
①右肩下がり・反比例型が不適当な理由
WBGTが上がるほど熱中症が減るグラフは、因果関係が逆です。暑くなるほど体温調節が困難になるため、発生率が下がることはありえません。物理的にも生理学的にも矛盾しています。
③直線型のグラフが不適当な理由
WBGTと熱中症が「比例」の直線関係にあるなら、WBGT 20℃でも25℃でも30℃でも同じ傾きで増え続けることになります。しかし実際は、低温域ではほとんど発生しないのに高温域で急増します。直線では「低温域での低い発生率」と「高温域での爆発的増加」の両方を表現できません。
④ 二次関数的急上昇が不適当な理由
④は低温域からすでに急カーブを描いており、②の指数カーブと一見似ています。しかし実際の熱中症データでは、WBGT 28℃付近に明確な閾値があり、それ以下ではリスクはほぼ横ばいです。④のように低温域から上昇が始まるグラフは、閾値の存在を表現できていないため不適当です。
4つのグラフを見たら、まず「WBGTが低い領域での発生率」と「高い領域での増え方」の2点をチェックしてください。低温域でほぼゼロ、高温域で急激に立ち上がっているグラフだけが正解です。



「低温域でほぼゼロ、高温域で急増」。この2つの特徴を満たすのは指数カーブだけです。
関連する過去問の出題傾向|温熱環境は頻出テーマ


WBGTや温熱環境に関する問題は、1級管工事施工管理技士の試験では繰り返し出題される頻出テーマです。過去には以下のような形式で問われています。
- 温熱環境の4要素:気温・湿度・輻射熱・気流の正誤判定
- WBGTの計算式:係数の大小関係や屋内外の違い
- 熱中症の予防対策:作業環境管理と健康管理の正誤
- 湿り空気線図:温度・湿度・エンタルピーの読み取り(第7問で出題)
今回のようなグラフ読解型は、数値を暗記する必要がなく「傾向の形」を覚えるだけで得点できる問題です。原論分野の第1問は環境工学からの出題が定番で、WBGTに限らず室内環境・換気・音・光なども出題範囲に含まれます。
令和7年の原論分野(第1〜7問)は、環境工学・流体力学・熱力学の3カテゴリで構成されています。同じ年度の問題をセットで学ぶと、分野横断の理解が深まります。



温熱環境は原論の中でも「覚えるだけで取れる」問題が多い分野。確実に1点拾いましょう。
試験=グラフの傾向を即判断、実務=現場の熱中症対策で毎日使う


試験ではWBGTの「グラフの形」を選ぶだけですが、実務においてはWBGTは建設現場で毎日使う指標です。試験の知識がそのまま現場に直結する、過去問の中でも珍しいテーマと言えます。
建設現場でのWBGT測定と作業管理
厚生労働省の「職場における熱中症予防基本対策要綱」では、WBGT値の測定が努力義務として定められています。建設現場では以下の運用が一般的です。
- 現場事務所や作業エリアにWBGT計を設置し、リアルタイムでモニタリング
- WBGT値に応じて作業時間と休憩時間の比率を調整(例:WBGT 31℃以上で作業中止)
- 安全衛生計画書に熱中症対策を記載し、朝礼で周知
- 基準値超過時に作業中止・休憩指示を出す判断基準として活用
施工管理技士の立場では、WBGTの数値を見て作業の可否を判断する場面が夏場はほぼ毎日あります。数値の意味と危険度の感覚を持っていないと、現場の安全管理ができません。
「28℃」が現場判断の分水嶺
実務においても、WBGT 28℃が大きな節目です。環境省の「厳重警戒」ラインであり、多くの現場では28℃を超えたら休憩頻度を上げる、31℃を超えたら屋外作業を中断するといった判断基準を設けています。
試験で問われた「指数的に急増する」という知識は、現場での判断にもそのまま活きます。WBGT 25℃と28℃では数値の差はわずか3℃ですが、リスクの大きさはまるで違う。この感覚を持っている施工管理技士と持っていない施工管理技士では、夏場の現場運営に大きな差が出ます。
設備工事ならではの熱中症リスク
管工事の施工管理で特に注意すべきなのは、天井裏・パイプシャフト・機械室など換気が不十分な狭い空間での作業です。これらの場所は外気温以上に高温多湿になりやすく、WBGTが屋外より高くなるケースが珍しくありません。
配管のろう付け・溶接作業では火気を使うため、作業者の周囲温度がさらに上昇します。WBGT計は屋外だけでなく、こうした作業エリアにも設置して測定することが推奨されています。
試験:4つのグラフからWBGTと熱中症の関係(指数カーブ)を選ぶ。知識だけで10秒で解ける。
実務:WBGT計を現場に設置し、数値に基づいて作業可否を判断する。28℃を超えたら休憩頻度を上げ、31℃以上で作業中止。施工管理の日常業務そのもの。



WBGTは試験でも実務でも使う、数少ない「勉強が現場に直結する」テーマ。ここで覚えた知識は合格後もずっと役に立ちます。
まとめ|WBGTと熱中症は「指数的に増える」を覚えるだけ


本記事のポイントを振り返ります。
- 正解:②(WBGTの上昇に伴い、熱中症患者発生率が指数関数的に急増するグラフ)
- 根拠:WBGT 28℃付近で体温調節の限界を超え、放熱が追いつかなくなる
- WBGT:気温・湿度・輻射熱・気流を総合した暑さ指数。湿度の影響が7割
- 誤答の見分け方:低温域でほぼゼロ、高温域で急増しているグラフだけが正解
- 実務:建設現場でWBGT計を設置し、数値に基づく作業管理に直結
WBGTと熱中症の関係は「指数的に増える」、たったこれだけで本番1点が確定します。計算不要・暗記最小限の得点源として、確実に押さえておきましょう。
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