1級管工事施工管理技士 過去問|令和7年第8問 温熱環境(PMV・clo・met)解説

令和7年1級管工事施工管理技士 第8問 温熱環境(PMV・clo・met)の解説記事アイキャッチ

1級管工事施工管理技士 第一次検定の令和7年 第8問は、温熱環境に関する知識問題でした。PMV(予想平均申告)、clo(着衣量)、met(代謝量)の定義や数値が問われ、4つの記述から「適当でないもの」を選ぶ形式です。

本記事では1級管工事施工管理技士を保持する現役設備エンジニアの視点から、結論→PMVの6要素→clo・metの数値→選択肢検証→実務目線の流れで整理しています。読み終わるころには、本番で迷わず正解を選べるレベルになっています。

温熱環境の問題は、PMVの6要素とclo・metの数値を正確に覚えているかが勝負。定義さえ押さえれば計算不要で取れる1点です。

目次

令和7年 1級管工事 第8問はこんな問題(温熱環境・4択正誤)

PMV算出に必要な温熱環境の6要素(気温・湿度・気流速度・放射温度・着衣量・代謝量)を人体アイコンの周囲に配置した概念図

令和7年 第8問は、温熱環境に関する4つの記述から「適当でないもの」を選ぶ問題です。PMV、clo値、met値の定義と数値が正確に頭に入っていれば、計算不要で解けます。

問題の要旨(要約)

温熱環境に関する記述のうち、適当でないものはどれか。

選択肢は次の4つ。正解は④です。

番号記述の要旨正誤
PMVは気温・湿度・気流速度・放射温度・着衣量・代謝量の6要素で算出する○ 正しい
PMV(予想平均申告)は、人が感じる温冷感を−3〜+3の数値で表す○ 正しい
clo(クロ)は衣服の断熱性を表し、1cloは約0.155 (m²·℃)/W○ 正しい
1metは安静座位の代謝量で、約100W/m²に相当する× 誤り

問題本文・図は公式PDFを下のボタンから確認できます。

※公式サイトでは過去年度のPDFが順次削除される場合があります。リンク切れ時は過去問アーカイブサイトをご利用ください。

「適当でないもの」を選ぶ問題なので、正しい記述3つに惑わされないことがカギ。④の「約100W/m²」が引っかけポイントです。

結論:正解は④|1metは58.2W/m²が正しい

黒板風の背景に正解④を表示、1met≈100W/m²は誤りで正しくは58.2W/m²であることを示す解説図

先に答えだけ知りたい方のために結論をまとめます。正解は④。1metは安静座位の代謝量で「約58.2W/m²」が正しく、「約100W/m²」は誤りです。

  • 根拠:ISO 7730で1met = 58.2W/m²と定義されている
  • ④の誤り:「約100W/m²」と書いてあるが、正しくは「約58.2W/m²」
  • 他の3つ:①温熱の6要素、②PMVの範囲(−3〜+3)、③cloの定義(0.155)──すべて正しい記述

metの数値は58.2W/m²という半端な数字です。試験の選択肢では「約100W/m²」と大きく異なる値が示されており、58.2を正確に覚えていれば即座に誤りと判断できます。

結論だけ確認したい方はここでOK。PMVの6要素やclo・metの詳しい定義を整理したい方は、この続きをどうぞ。

PMV(予想平均申告)とは何か|温熱快適性を数値化する6要素

PMVの6要素を環境側4つ(気温・湿度・気流速度・放射温度)と人体側2つ(着衣量clo・代謝量met)に分類した概念図

PMV(Predicted Mean Vote:予想平均申告)は、デンマークのファンガー教授が提唱した温熱快適性の指標です。「その環境にいる人が暑いと感じるか寒いと感じるか」を−3〜+3の数値で表します。

PMVを決める6つの要素

PMVは次の6つの要素から計算されます。環境側4要素と人体側2要素に分かれる点がポイントです。

分類要素内容
環境側気温(空気温度)周囲の空気の温度
湿度(相対湿度)空気中の水蒸気量
気流速度空気の動きの速さ
放射温度(MRT)周囲の壁・天井・床からの熱放射
人体側着衣量(clo)衣服の断熱性
代謝量(met)人体が発する熱量

PMVの数値の意味

PMVは−3(寒い)〜 0(中立)〜 +3(暑い)の7段階で表されます。ISO 7730では、快適な環境の目安はPMV = −0.5〜+0.5の範囲とされています。

PMV値温冷感
+3暑い
+2暖かい
+1やや暖かい
0中立(快適)
−1やや涼しい
−2涼しい
−3寒い

選択肢②の「PMVは−3〜+3で温冷感を表す」はこの定義そのものなので、正しい記述です。

PMVは「環境側4つ+人体側2つ=合計6要素」で決まります。6要素を丸ごとセットで覚えてしまうのが最短ルートです。

clo(クロ)値とmet(メット)値の正しい理解

着衣量cloと代謝量metのスケール比較図:裸体0cloからスーツ1.0clo、安静座位1metからランニング4metまでの対応表

PMVの「人体側2要素」であるcloとmetは、それぞれ固有の数値定義を持っています。試験ではその定義の正確さが問われるため、ここを重点的に押さえましょう。

clo(クロ)値=衣服の断熱性

cloは衣服の断熱性(熱抵抗)を表す単位です。1cloの定義は次のとおり。

1cloの定義

気温21.2℃・相対湿度50%以下・気流0.1m/s以下の室内で、安静座位の人が快適と感じる着衣量。熱抵抗値は 0.155 m²·K/W に相当します。

clo値の目安を覚えておくと、選択肢の正誤判定が速くなります。

  • 0 clo:裸(断熱なし)
  • 0.5 clo:半袖シャツ+薄手のズボン程度(夏の軽装)
  • 1.0 clo:長袖シャツ+スーツ上下程度(標準的なビジネスウェア)
  • 1.5 clo以上:冬のコート+厚手の衣類

選択肢③の「cloは衣服の断熱性、1clo=約0.155(m²·℃)/W」は、この定義と一致するので正しい記述です。

met(メット)値=代謝量

metは人体の代謝量(発熱量)を表す単位です。1metの定義が今回の正解のカギです。

1metの定義

安静座位(椅子に座って安静にしている状態)の代謝量。数値は58.2 W/m²(体表面積あたり)です。

met値の目安は次のとおりです。

  • 1.0 met:安静座位(= 58.2 W/m²)
  • 1.2 met:軽い事務作業
  • 2.0 met:歩行(時速4km程度)
  • 4.0 met以上:重労働・運動

選択肢④は「約100W/m²」としていますが、正しくは58.2W/m²です。実際の約1.7倍もの値になっており、明確な誤りです。この「58.2」という半端な数値こそが、試験で狙われるポイントです。

「1met = 58.2W/m²」は半端な数字ですが、だからこそ試験に出ます。「58(ゴーハチ)」と語呂で覚えてしまうのが確実です。

誤答パターン|①②③はなぜ適当か

選択肢①②③④の正誤チェックリスト:①PMV6要素は適当、②clo値は適当、③SET*は適当、④met値100W/m²は不適当で正しくは58.2W/m²

正解は④ですが、他の選択肢を「適当でない」と誤って選んでしまうケースもあります。①②③がなぜ正しいのか、それぞれの根拠を確認しておきましょう。

①「PMVは6要素で算出」→ ○ 正しい

PMVが気温・湿度・気流速度・放射温度・着衣量・代謝量の6要素で算出されるのはISO 7730の定義そのものです。ファンガーの快適方程式は、この6つの入力値から温冷感を数値化します。正しい記述です。

要素を5つや7つと迷ったら、「環境側4つ+人体側2つ=6つ」と整理すると忘れにくくなります。

②「PMVは−3〜+3で温冷感を表す」→ ○ 正しい

PMV(予想平均申告)は、人が感じる温冷感を−3(寒い)〜 0(中立)〜 +3(暑い)の数値で表す指標です。ISO 7730の基本定義そのもので、正しい記述です。

③「cloは衣服の断熱性、1clo=約0.155(m²·℃)/W」→ ○ 正しい

cloは衣服の断熱性(熱抵抗)を表す単位で、1cloは約0.155 (m²·℃)/Wに相当します(気温21.2℃・湿度50%以下・気流0.1m/s以下で安静座位の人が快適と感じる着衣量)。正しい記述です。

間違えやすいパターン

③の「0.155」という半端な数値に自信が持てず迷うケースがあります。しかし1clo=約0.155(m²·℃)/Wが正しい定義値です。また①で「要素が6つもある? 4つでは?」と疑ってしまうのは、環境側の4要素だけを想像して人体側の2要素(clo・met)を忘れている状態です。

①②③は全部正しい定義。④の「100W/m²」だけが数値の引っかけです。metの58.2を正確に覚えていれば、迷いようがありません。

関連する出題傾向|PMV・SET*・温熱環境は繰り返し出る

環境工学の試験範囲マインドマップ:温熱環境(PMV・clo・met・SET*)を中心に室内空気質・音環境・光環境・換気通風の分野構成図

温熱環境の分野は、1級管工事施工管理技士の第一次検定で繰り返し出題される頻出テーマです。PMV以外にも関連する指標があり、セットで覚えると得点効率が上がります。

温熱環境指標の仲間たち

  • PMV(予想平均申告):6要素で快適性を−3〜+3で評価
  • PPD(予想不満足者率):PMVから算出。PMV=0でもPPD=5%(全員満足は不可能)
  • SET*(新標準有効温度):体感温度を1つの温度に換算した指標
  • WBGT(湿球黒球温度):暑さ指数。熱中症対策で使われる ← 第1問で出題
  • 作用温度(OT):気温と放射温度の加重平均

第1問のWBGT(暑さ指数)と第8問のPMVは、どちらも「温熱環境を数値化する」という共通の考え方に基づいています。WBGTは屋外の熱中症リスク評価、PMVは室内の快適性評価と、使う場面が違う点を整理しておくと混同を防げます。

PMV・PPD・SET*・WBGTは「温熱環境指標ファミリー」として一括で整理しておくと、どの形式で出題されても対応できます。

試験=定義と数値の暗記、実務=BEMSで毎日PMVをモニタリング

試験vs実務の比較インフォグラフィック:左側は暗記中心の試験対策、右側はBEMS画面を使った実務でのPMVモニタリング

試験と実務では、PMV・clo・metとの関わり方がまったく違います。1級管工事施工管理技士として現場を経験してきた立場から、その違いを率直に書きます。

ビルのBEMSでPMVをモニタリングする

実務においては、PMVはBEMS(Building Energy Management System)でリアルタイムに監視する値です。大規模ビルの中央監視室では、各フロアの気温・湿度・気流速度をセンサーで計測し、PMVが−0.5〜+0.5の快適範囲に収まるよう空調制御が行われています。

試験では「PMVの6要素を全部言えるか」が問われますが、実務では6要素のうちどれをいじれば快適になるかを判断する力が求められます。気温を下げるだけでなく、気流速度を上げる・放射温度を抑えるなど、複合的な調整が日常です。

クールビズ対応と空調設定温度の関係

clo値は実務で空調の設計条件に直結します。クールビズ(ノーネクタイ・ノージャケット)の普及で、夏場のオフィスの想定着衣量は従来の1.0cloから0.5clo程度に下がりました。cloが下がれば人体からの放熱が増えるため、室温を28℃に設定してもPMVが快適範囲に収まる設計が成り立つようになりました。

逆にいえば、スーツ着用(1.0clo)のまま28℃設定だとPMVはプラス側に振れ、「暑い」と感じる人が増えます。cloの変化が空調設計に直接影響する典型例です。

設計条件でのclo・met設定値

空調設計の初期段階で、設計者は「この建物の利用者はどんな服装で、どんな活動をしているか」を想定してcloとmetを決めます。オフィスなら事務作業(1.2met)+ビジネスカジュアル(0.6clo)、病院の病室なら安静臥位(0.8met)+パジャマ(0.5clo)というように、建物の用途ごとに使い分けます。

試験では「1met = 58.2W/m²」と覚えるだけですが、実務ではその数値を基に空間ごとの熱負荷を計算し、空調容量を決定するという流れにつながります。

試験と実務の違い

試験= PMVの6要素・clo/metの数値を正確に覚える知識問題。実務= BEMSでPMVをモニタリングし、クールビズ想定の0.5cloでも快適な空調設計を行う判断力。数値を覚えた先に、実務の設計判断がつながっています。

実務ではPMVの数値を毎日見る場面がある分野です。試験で覚えた知識がそのまま使えるので、ぜひ正確に押さえておいてください。

独学が不安なら動画講座を併用

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PMV・clo・metの数値は、テキストの文字だけで覚えようとすると混乱しがちです。動画講座で図や表を見ながら整理するほうが定着率は高くなります。SATの1級管工事施工管理技士コースは、環境工学分野の解説が充実しており、無料サンプル講義で雰囲気を確認できます。

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clo・metの数値は映像で見ると記憶に残りやすいです。無料で試せるので損はありません。

まとめ|PMV・clo・metは「6要素と数値」を覚えるだけ

まとめカード:PMVの範囲は-3〜+3で6要素、着衣量1clo=0.155m²K/W、代謝量1met=58.2W/m²(100ではない)、正解は④

本記事のポイントを整理します。

  • 正解:④(1metは「約100W/m²」→ 正しくは「58.2W/m²」)
  • PMV:気温・湿度・気流速度・放射温度・着衣量・代謝量の6要素で算出
  • PMVの範囲:−3(寒い)〜 0(中立)〜 +3(暑い)。快適範囲は±0.5
  • clo:衣服の断熱性。1clo=約0.155(m²·℃)/W(気温21.2℃で快適な着衣量)
  • met:代謝量。1met = 58.2W/m²(安静座位)← ここが出題ポイント
  • 実務:BEMSでPMVモニタリング。クールビズ対応で0.5clo想定の空調設計が主流

PMV・clo・metは定義と数値を正確に覚えれば、計算不要で確実に1点が拾える知識問題です。特に「1met = 58.2W/m²」の半端な数値は試験の頻出ポイントなので、ここだけは確実に押さえておいてください。

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この記事を書いた人

現役20年の設備エンジニア。
「転⁠職⁠し⁠た⁠け⁠ど⁠残⁠っ⁠た」立場から発⁠信。

20〜30代の建設業エンジニアに、
「市⁠場⁠価⁠値⁠で⁠決⁠め⁠る⁠キ⁠ャ⁠リ⁠ア」を伝⁠授。

転職エージェント登録経験から、
「現⁠職⁠を⁠活⁠か⁠す⁠働⁠き⁠方」を発⁠信⁠中。

【保有資格】
・設⁠備⁠設⁠計⁠一⁠級⁠建⁠築⁠士
・建⁠築⁠設⁠備⁠士
・一⁠級⁠管⁠工⁠事⁠施⁠工⁠管⁠理⁠技⁠士
・一⁠級⁠電⁠気⁠工⁠事⁠施⁠工⁠管⁠理⁠技⁠士 ほか

詳⁠し⁠い⁠プ⁠ロ⁠フ⁠ィ⁠ー⁠ル⁠は⁠こ⁠ち⁠ら

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