1級管工事施工管理技士 過去問|令和7年第4問 ダルシー・ワイスバッハ式解説

令和7年 1級管工事施工管理技士 第4問 ダルシー・ワイスバッハ式 解説アイキャッチ

1級管工事施工管理技士 第一次検定の令和7年 第4問は、ダルシー・ワイスバッハの式の用語穴埋め問題でした。直管の流体摩擦の原因は何か(A)、圧力損失は何に比例するか(B)、その2つの空欄を埋める典型的な4択。計算は1秒も要らない、知っていれば1分で1点が取れるサービス問題です。

本記事では1級建築士+建築設備士+1級管工事施工管理技士を保持する現役設備設計者の視点から、結論→式の意味→誤答パターン→実務目線の流れで一気に整理します。覚えるのは「粘性管長」の2語だけ。読み終わるころには、本番で迷わず正解を選べるレベルになっています。

ダルシー・ワイスバッハ式は、第2問のレイノルズ数・第3問のベルヌーイの定理と並ぶ「流体力学3点セット」の3本目。ここを腹落ちさせれば、流体分野の取りこぼしはほぼゼロになりますよ。

目次

令和7年 1級管工事 第4問はこんな問題(用語穴埋め型)

令和7年 第4問は、水平な円管の直管部に水が流れている状況での流体摩擦と圧力損失について、文中の2つの空欄に当てはまる用語の組合せを選ぶ問題です。問題の要旨を自分の言葉で整理します。

📘 問題の要旨(要約)

水平な円管の直管部に水が流れているとき、[ A ]のために流体摩擦が働き、圧力損失が生じる。ダルシー・ワイスバッハの式は、この圧力損失が[ B ]に比例することを表している。

選択肢は次の4つ。正解は④(A=粘性、B=管長)です。

番号
慣性管内径
慣性管長
粘性管内径
粘性管長

問題本文・図は公式PDFを下のボタンから確認できます。

※公式サイトでは過去年度のPDFが順次削除される場合があります。リンク切れ時は過去問アーカイブサイトをご利用ください。

用語穴埋め型は計算ゼロ。「粘性」と「管長」の2語だけ覚えれば、確実に1点が積めるラッキー問題です。

結論:正解は④(A=粘性、B=管長)/覚えるのは1分

先に答えだけ知りたい方のために、結論をまとめます。A=粘性、B=管長。流体摩擦の原因は粘性で、圧力損失は管長に比例する。これだけです。

  • A(流体摩擦の原因)粘性(慣性ではない)
  • B(圧力損失が比例する量)管長 L(管内径ではない)
  • 根拠式:ダルシー・ワイスバッハ式 ΔP = λ × (L/D) × ½ρV²

覚え方は単純で、「ねっとりしてるから(=粘性)、長いほど(=管長)損する」。これだけで本番の4択は突破できます。式そのものを暗記するより、まず2語の意味付けから入るほうが早いです。

ここでサクッと正解だけ確認したい人はOK。仕組みから理解したい人は、この続きから式の構造を丁寧に追いましょう。

ダルシー・ワイスバッハの式とは|ΔP=λ・L/D・½ρV² を分解する

ダルシー・ワイスバッハの式は、円管の直管部における圧力損失を計算する基本式です。形は次の1本だけ。

ΔP = λ × (L/D) × ½ρV²

各項の意味と単位を表にまとめます。

記号意味単位
ΔP直管摩擦による圧力損失Pa
λ管摩擦係数(無次元、Reに依存)
L管長m
D管内径m
ρ流体密度kg/m³
V平均流速m/s
½ρV²動圧(ベルヌーイ式と共通)Pa

この1本の式さえ書ければ、第4問のような用語問題は「式を見ながら答えを拾うだけ」になります。L が分子にあるから「管長に比例」、D が分母にあるから「管内径に反比例」、V² があるから「流速の2乗に比例」。どこに何があるか、を覚えるのが得点源です。

📘 補足|λ(管摩擦係数)はレイノルズ数の関数

λは固定値ではなく、レイノルズ数 Re と相対粗さの関数。層流では λ=64/Re、乱流ではムーディ線図やコールブルック式から読み取ります。第2問(レイノルズ数)と直結している論点なので、セットで覚えておくと取りこぼしません。

式の形さえ書ければ、用語問題は怖くありません。L/D の上下関係が「比例/反比例」をそのまま表しています。

なぜ「粘性」が正解か|慣性との違いを30秒で

空欄Aで問われているのは「流体摩擦の原因は何か」。正解は粘性です。慣性も粘性も力学用語で見たことがあるため混同しやすいので、ここで一度きっちり整理しておきます。

用語意味摩擦への関与
粘性流体内部の「ねばり」。隣り合う流体層がお互いを引きずる性質これが摩擦の原因
慣性動いているものが「動き続けようとする」性質。質量×速度由来摩擦の原因ではない(流れを保つ側)

ざっくり言えば、「粘性は流れを邪魔する」「慣性は流れを保つ」。直管部の圧力損失は、流体が管壁や流体同士でこすれて起きる現象なので、原因は粘性側です。

ちなみに第2問のレイノルズ数 Re = ρVD/μ は、まさに「慣性力/粘性力」の比。Reが大きい=慣性が勝って乱流、Reが小さい=粘性が勝って層流。「慣性 vs 粘性」の対立構造は流体力学の基本軸なので、セットで頭に入れておくと損しません。

慣性は流れを保つ、粘性は流れを邪魔する。摩擦=邪魔者なので、原因は粘性。これで一発です。

なぜ「管長 L に比例」か|各項が何に比例するか整理表

空欄Bで問われているのは「ΔPは何に比例するか」。式 ΔP = λ・L/D・½ρV² の構造を見れば、L が分子にあるので管長 L に比例と即答できます。各項の効き方を一覧にしておきましょう。

意味ΔPへの効き方
L管長比例(2倍 → ΔPも2倍)
D管内径反比例(細いほど損失大)
V流速2乗に比例(2倍 → 4倍)
ρ流体密度比例
λ摩擦係数比例(Reに依存)

感覚的にも分かりやすく、長い配管ほど損失が積み上がるのは当然。10 m の配管と 100 m の配管なら、後者のほうが10倍の損失が出ます。「管長に比例」は直感とも合うので、暗記というより理屈で覚えるのがおすすめです。

📘 補足|管内径 D は実は5乗で効く

式の表面では「Dに反比例」ですが、流量 Q を一定とすると V = Q/(πD²/4) なので、Dが小さくなるとV²の項も急増します。代入するとΔPはDの5乗に反比例。実務で「管径を1サイズ上げただけで圧損が激減する」のはこの効き方のためです。試験ではここまで問われませんが、知っておくと損はしません。

L は分子、D は分母。式の上下を見るだけで「比例/反比例」が即答できます。

よくある間違い3パターン|選択肢①②③の落とし穴

正解は④ですが、誤答の①②③もそれぞれ「ありがちなミスを誘う罠」として配置されています。本番で同じミスをしないために、3つの落とし穴を解析しておきましょう。

罠①:選択肢②「慣性 × 管長」(慣性と粘性を取り違える)

BはOKだがAでつまずくパターン。「流体摩擦」と聞いた瞬間に「慣性力」を連想してしまうケースで、レイノルズ数の「慣性力/粘性力」の式の片方を引っ張り出してしまうのが原因です。摩擦=邪魔者=粘性と1セットで覚えれば回避できます。

罠②:選択肢③「粘性 × 管内径」(管長と管内径を取り違える)

AはOKだがBでつまずくパターン。「圧力損失は管の太さで決まる」という直感に引っ張られ、Dを選んでしまうケースです。確かにDも効きますが、式の上では D は分母(反比例)。「比例する量は何か」と問われたら、分子側にある L を選ぶのが正解。式の分子・分母を見るクセをつけるのが防御策です。

罠③:選択肢①「慣性 × 管内径」(両方ハズレ)

ABともに外しているパターン。これを選んだ場合はダルシー・ワイスバッハ式そのものの構造を覚えていないサインなので、いったん式の各項の意味の解説に戻って復習してください。本番でこの選択肢を選ぶリスクを下げるには、式を1本だけ書けるようにしておくのが最短の対策です。

📘 派生論点|λを「定数」と思い込む誤解

本問では問われませんが、λ(管摩擦係数)を「いつでも0.02くらいの定数」と思い込むのはNG。層流では λ=64/Re、乱流では相対粗さで変わります。第2問(レイノルズ数)の知識と地続きで、計算問題の年に絡んでくる論点なのでセットで押さえておきましょう。

誤答の3つはすべて「ありがちな取り違え」を狙った罠。式の分子・分母を見て答えを拾うクセをつけるのが最強の対策です。

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試験=公式の用語暗記、実務=ダクトサイザー任せ(建築設備士の本音)

ここからが本記事の核。設備設計の現場で「ダルシー・ワイスバッハ式を電卓で手計算する」場面はほぼありません。1級建築士+建築設備士として現役で設備設計に関わる立場から、正直に書きます。

①直管摩擦損失は専用ソフトが自動で回す

ダクト・配管の圧力損失計算はダクトサイザー/Revit MEP/CADWe’ll Tfasなどのソフトが標準。区間ごとに λ・L/D・½ρV² をソフトが自動で回し、設計者は系統全体の圧力損失合計を一覧表で受け取るだけです。手で λ を引いて電卓を叩くのは、検算と説明資料を作るときくらい。「式は知っていれば十分、回すのはソフト」が現場の実態です。

②λはレイノルズ数と相対粗さで変わる(材質依存)

試験では「λは与えられる」または「λ=64/Re」で済みますが、実務ではムーディ線図やコールブルック式からλを求めます。さらに配管材質(ステンレス・塩ビ・ライニング鋼管)で粗さが変わるため、同じ径・同じ流量でもλが変わる。給水・排水・冷温水で標準的に使う材質が違うので、材質別の粗さ感覚を持っておくのが実務側の腕の見せどころです。

📘 補足|給水系では別の経験式も併用

水のみの系統(給水・スプリンクラー等)では、λを介さず流量係数Cで圧力損失を直接算定するヘーゼン・ウィリアムス式もよく使います。ダルシー・ワイスバッハ式とは別系統の独立した経験式で、計算が容易な代わりに水以外には適用できません。

③圧力損失は「直管+局部」の積み上げ

ダルシー・ワイスバッハ式が扱うのは直管摩擦損失だけ。実務ではエルボ・チーズ・バルブ・レデューサなどの局部損失を別途加算します。局部損失の算定方法は2種類で、「動圧倍数(½ρV²×ζ)」または「等価長換算(直管相当長に換算してダルシー式で一括計算)」。試験では直管のみですが、実務では合算が前提――この差を知っておくだけで現場の話に乗れます。

④管径UPは「圧損激減 vs イニシャル増」のトレードオフ

式の上で D は分母にあるだけですが、流量Q一定の条件で V も連動するため、ΔPは実質Dの5乗に反比例。「管径を1サイズ上げる」だけでΔPが激減するため、ポンプ動力削減の王道です。ただしイニシャル増・天井ふところの圧迫・スリーブの再協議といったトレードオフが必ずついてくる。机上の最適と現場の最適がズレる典型例で、設備設計の判断力が問われる場面でもあります。

⑤配管ルート計画=総延長最短化=ポンプ動力削減

「ΔPは管長 L に比例」という試験論点は、実務では配管ルートの総延長をいかに短くするかという設計判断に直結します。総延長が短い=ΔPが小さい=ポンプの揚程・動力が小さくて済む=ランニングコストが下がる。L に比例という1行の試験知識が、設備設計の腕を測るモノサシそのものになっている――というのが実務側の風景です。

📘 実務メモ|設計流速の上限値の感覚

給水で約 2 m/s 以下、ダクト主管で 8〜10 m/s 以下が目安。流速が上がりすぎると騒音・エロージョンで施工後にクレームになります。式の上では V² で効くので、流速を抑えることが圧損低減と騒音対策の両方に効くわけです。

試験は「式と用語の暗記」、実務は「ソフト+判断力」。両方の視点を持っていると、現場でも資格試験でも強くなれます。

関連過去問でセット学習|流体力学3点セット完全攻略

1級管工事の流体力学分野は、レイノルズ数(第2問)→ ベルヌーイの定理(第3問)→ ダルシー・ワイスバッハ式(第4問)という3点セットで体系化されています。1問だけで覚えるより、3問まとめて解いたほうが定着が早いです。

  • ① レイノルズ数 Re = ρVD/μ:層流/乱流の判定(→λの値が決まる)
  • ② ベルヌーイの定理 P+½ρV²+ρgh=const:全圧バランス(→ΔP_lossの居場所)
  • ③ ダルシー・ワイスバッハ式 ΔP=λ・L/D・½ρV²:直管摩擦損失の中身

①のReが③のλを決め、②の損失項ΔP_lossの中身が③そのもの。3式は独立ではなく、1つの体系として地続きでつながっています。

レイノルズで「層流/乱流」を判定 → ベルヌーイで「全圧バランス」を取る → ダルシー・ワイスバッハで「圧力損失の中身」を計算。流体力学の地図はこの3点で完結します。

まとめ|「粘性」+「管長」が分かれば1点確定

本記事のポイントを整理します。

  • 正解:④(A=粘性、B=管長)
  • 根拠式:ダルシー・ワイスバッハ式 ΔP = λ × (L/D) × ½ρV²
  • 覚え方:「ねっとりしてるから(粘性)、長いほど(管長)損する」
  • 誤答の罠:①は両方ハズレ、②は慣性と取り違え、③は管長と管内径を取り違え
  • 派生論点:λはRe依存、Dは実質5乗に反比例、Vは2乗に比例
  • 実務:ダクトサイザー/Revit MEPで自動計算、配管材質で粗さが変わる、管径UPはトレードオフ

「粘性」と「管長」――この2語さえ腹落ちさせれば、ダルシー・ワイスバッハ系の用語問題はほぼ全て解けるようになります。式の暗記より、まず2語の意味付けを優先してください。

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この記事を書いた人

現役20年の設備エンジニア。
「転⁠職⁠し⁠た⁠け⁠ど⁠残⁠っ⁠た」立場から発⁠信。

20〜30代の建設業エンジニアに、
「市⁠場⁠価⁠値⁠で⁠決⁠め⁠る⁠キ⁠ャ⁠リ⁠ア」を伝⁠授。

転職エージェント登録経験から、
「現⁠職⁠を⁠活⁠か⁠す⁠働⁠き⁠方」を発⁠信⁠中。

【保有資格】
・設⁠備⁠設⁠計⁠一⁠級⁠建⁠築⁠士
・建⁠築⁠設⁠備⁠士
・一⁠級⁠管⁠工⁠事⁠施⁠工⁠管⁠理⁠技⁠士
・一⁠級⁠電⁠気⁠工⁠事⁠施⁠工⁠管⁠理⁠技⁠士 ほか

詳⁠し⁠い⁠プ⁠ロ⁠フ⁠ィ⁠ー⁠ル⁠は⁠こ⁠ち⁠ら

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